平成13年12月2日
演目  短命・百年目
パンフレットより

 お運びで御礼申し上げます。おかげをもちまして第49回を迎えました。来年の3月には、50回の記念の会を準備しています。またお誘い合わせの上ぜひご来場下さい。

 先月末、にわかに思い立って浅草演芸場の昼席へでかけました。開演間もないのに2階席まで超満員。後で噺家さんに尋ねたら「ここんとこずっとこんな入り(満員)なんです」とのこと。久しぶりの定席ということもあり、色物も漫才・大神楽・曲独楽とそれぞれ楽しめ、また噺家さんも形態模写や百面相を入れ込むなど、バラエティーに富んだ内容で、寄席の番組としてはとても充実したものでした。肝心の落語はというと、本来は長い噺を途中で切ったり、軽めのよく聴く短い噺ばかり。当然承知のうえなのですが、そういう点ではちょっと欲求不満が残りました。

 当小牧の会では、最近は普段なかなか寄席でも聴かれないような噺もかかるようになってきました。今日の演題の一つ「百年目」を知らされた時、「小牧の会もこういうネタがかかるようになったのか」とちょっと感慨をおぼえました。「百年目」というのは、「ここで会ったが百年目」などと使われるように、どうしようもない場合にいう言葉で、「おしまいだ・運の尽きだ」というような意味でしょうが、前半の番頭の小言、花見での派手な遊びと爛漫と咲く桜の描写、帰宅後の番頭の心理描写、翌朝の旦那の慈愛に満ちた言葉。どこをとっても演じ手には骨の折れる、それゆえ聞き手には聴きごたえのある傑作です。そんな噺ですから、めったに聴くことはありません。落語と25年くらいつき合いのある僕ですが、20年程前に一度「ナマ百年目」を聴いたことがあるだけです。

 世話人からお願いをした「短命」と、めぐりあえることが僥倖ともいえる「百年目」。雀松ワールドを、ごゆっくり、気を確かにもって、たっぷりと、お楽しみください。

 

からむニストより

小牧商工会議所会館での「第49回小牧落語を聴く会」は、桂雀松三度目の来演である。

まず、艶笑談をスマートにこなして好評の「短命」。短い噺なのでマクラをたっぷり。上方落語界は老人が元気で、最高齢の笑福亭松之助と桂米朝が、いずれも来年喜寿なのに”どっか悪いんじゃないか”と思えるほどメチャ元気。松之助はプールへ通い、人間国宝桂米朝は、よく食べよく飲みしばしば二日酔い。60年近い酒歴で飲み過ぎとは、学習能力がない・・・。「ここだけの話ですよ。言い付けんといてくださいよ・・・。」満場ゲラゲラ。

二席目は「百年目」。学生のころ、米朝のをラジオで聞いて感動。いつか演じたいと念じていたという。「私もここに出てくる番頭くらいのトシ(45歳)になりましたので・・・」

モダンな芸風の雀松が、師匠の枝雀も手掛けなかった大ネタを40分たっぷり。充実した会だった。次回は3月17日。(楽屋雀)

 

第7回(平成2年12月8日)  第39回(平成11年7月4日) 

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