教育つれづれ

第26話 分かるけど分からない

平成14年6月4日

今日の授業はだめだあ。
授業技術や話術ではもっていけないなあ、という気持ちにさせた言葉が、

(−2)×(−3)が6になることは分かるけど、
どうして負の数と負の数をかけると正の数になるかがワカラン、という子どもの一言。

この言葉は、教科書にある考え方が黒板にきちんと示され、その説明を見ての一言だから、
なおさら、行き詰まってしまった。

ある子どもが「分かってよ」とつぶやいたために、その子どもに説明をさせたが、ワカランといった子どもにとっては、順々に考えるとこうなるでしょ、といった程度の説明ではワカランのです、という状態。

う〜ん、手がない。今は自分で対応できるだけの駒を持っていないぞ。
最後には「いい勉強になったよ。ありがとう。」と桂文楽が落語口演中に、ネタが出てこなくなり、「また勉強し直してきます」と言ったまま二度と高座に上らなかったような言葉を発して、授業は終了。
チャイムで救われた授業だった。

子どもにとって分かるとは何か、を改めて知らされた1時間だった。

前へ 目次へ 次へ