教育つれづれ

第15話 プロのリアリティ(その2)

平成13年12月22日

再び消防署のみなさんのボランティア授業での出来事。

その日は始めに消防署の方の寸劇があって、子どもたちも浮ついた雰囲気で授業が進んでいた。それを察知した教師が現実を直視させようと救命士の方に質問をした。(こうした授業のプロとしての関わりが、ボランティア支援授業では大切)

「これまでに、こうして心肺蘇生法をしていて困ったことはありますか」

事前に打ち合わせた質問ではないため、ちょっと間があった。

そして、ぼつぼつと話し始められた内容が、すごかった。

聞いていて鳥肌が立った。その場の映像が鮮明に浮かんだ。命が大切であることが一瞬にして伝わる話だった。

次のような話である。

こうして必死になって人工呼吸をしているでしょ。僕の周りで必死に泣け叫んでいる人たちの声、「○○さ〜ん、○○さん・・・・」という声、この声を聞きながら、落ち着いて処置をすること、もう、もう大変なんです。僕も助けたいんです。必死なんです。

子どもたちの顔つきは一瞬にして変わった。プロのリアリティである。

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