勝田知久氏による議事録

たくみの会
■日時:2001年11月22日(木)19:30〜
■場所:エドウェル会議室
■参加者:玉置、松浦、太田、鈴木、梶田、佐藤、渡辺、酒井、大西、勝田(記)

<議事内容>
■11月20日開催の小牧中での研究発表会について
・玉置先生から、生徒にあらかじめ話をしたのは、「来賓の先生方に、自分の学校に連れて帰りたいと思わせるくらいの生徒になろう」という指示だけであった。細かく、こうしなさい、ああしなさいという指示は特別に出さなかった。子どもたちは、自分なりにお客様に喜んでいただけるように考えていたと思う。

(勝田が当日経験したこと)
*体育館での全体講演終了後、下駄箱の場所がわからない旨を生徒に伝えたところ、二人の女子生徒が下駄箱まで連れて行ってくれました。

・小牧中として、本当に訪問された方々に見て欲しかったのは、あの会にいたるまでの学校の先生の奮闘振りであった。準備段階で、先生たちは、自分の担当ブースを離れて、建設的に考え、意見を出し合い、話あうことができたと思う。今回の目標の一つである「内にひらく」という目的を達することができたと思う。特に、先生たちが、他者の意見や話を一度、謙虚に聞けるようになった。
・会の後、大西さんへの質問が多かった。どんな身分の人で、どんな立場の人?小牧との関係、小牧のメリットなど、先生たちには馴染みがなかったのかも…。
・また、発表会終了後、メールで「何で、公立の学校なのに、企業やコンサルタントがブースに入っているんだ!」という意見がきている。そんなことは、わかりきってやっていることなのに…。まだまだ、学校の先生からは、こういう意見が出てきてしまう。

■絶対評価のノウハウ作りについて
<玉置先生から>
・形成的評価の言葉の意味が曖昧かもしれないが、先生は授業の場面場面で、常に次のことを考えて評価をしている。授業には何もしていない時間はないはず。その一つひとつのシーンの意味をみんなで考えあいたい。評価のための評価ではなく、授業を豊かにする評価法として進める。
・形成的評価の積み上げが、最終的な絶対評価に繋がるはず。日ごろの授業で、形成的評価の積み上げがないと、絶対評価は意味をなさないはず。
・絶対評価の導入をきっかけに、もっと授業を良くしたいと思う。

■各先生から授業における評価の話紹介
・佐藤先生(小学校の先生)は、算数の授業でこんな評価をしている。
ある問題について、生徒にそれぞれ〜案(回答案)を出させ、その子の〜案をわかるか?ということをやる。相手の考えを理解でき、それを受けて自分の考えを話せるかどうか?あるいは、自分の言葉で話せるかどうか?
・小学生でも、説明できる子はいるが、説明できない子もかなりいる。全員の子どもに説明できるまでわかって欲しい場合は、こういう取り組みを割りにしつこくやっている。
・「他人の意見に賛同するのではなく」「違う」という方がおもしろいのではないか。「〜君の意見は違います!」という声が出た時の方が、おもしろくなる。違いがあると、その部分がクローズアップされ、より深みが出てくるはず。
・中1の最初は、「自分の名前」を書けるかで評価する。(鈴木先生)
・授業の途中の場面で、先生は次に何を言うか?で評価する。(鈴木先生)

■取り上げるべき評価のノウハウ像
・上記のような事例を紹介するのであれば、具体例を出した方がいいのでは。概念的なところは意外にすっきりとわかる。しかし、本当に必要なのは具体的な事例なのでは。
・例えば、実際に先生が評価するタイミングはどこなのか?読み取ったA君、読み取れないB君へのアプローチはどうするのか?などに興味がいくのではないか。
・評価法というと、チェック表を思い浮かべたり、イメージとして重く感じる。それよりはもっと軽いヒント集的な位置付けのものではないか?
・評価をして授業を豊かにすることが思いとしてある。メインは、授業をよくすること。それが目的。その方法として評価の事例をヒント集を出すもの。チェック表を作り、理論作りをすることが目的ではない。授業を豊かにするための授業のワンシーンの集合体というイメージ。アイデア集に近いもの。
・評価理論ではないし、評価論であってもいけない。もっと、現場の先生に即座に役立つような内容のものにする。先生がこういう投げかけをすることで、授業が豊かになるというものを目指したい。
・評価をしなくてはいけないとか、評価をすることに追い込むのが目的ではない。

■再度、各先生の評価の事例収集の意味について確認
・従来の質問やテストによる評価ではなく、授業でのふとしたシーンでも評価をしているにもかかわらず、しかし、そこにフォーカスしたものはない。
・困っている、悩んでいる先生、あるいは経験の浅い先生に読んでもらえるように、軽いタイトルでもOKかと思う。
・評価法というよりは、評価をいかした授業ぐらいのタイトルの方が、イメージできるのではないか?
・タイトルには特別こだわらなくてもいい。タイトルは事例を収集し、ノウハウ集の全貌が明らかになってから再度、みんなで考えればいいのではないか?

■事例収集の体系化について
・これまで話してきたような内容の事例を、一体、どれだけ集められるか?ふだんの授業でしていることであれば、たくさん出せる。しかし、体系化することは難しそう。
・体系化する必要はあるのか?重視したいのは、読み手に読みやすい構成、目次割にすること。まずは、事例を集めることが大切。体系化を前提におくと、事例を出すのも難しそう。集めてから、考えればいい。

■事例収集のポイント
・ある評価ノウハウの良さよりも、その評価ノウハウを使う場面や事例、どんな使い方をしたのか、について読み手は関心があるのではないか。
・一人5本も書けば、生まれる気付きもあるはず
・テストはテストで再度事例として収集すればいいと思う。まずは、普通の授業シーンでどのような評価をしているのかについて、考えていきたい。
・例えば、ペンを置きなさいと言って、すぐに置くかどうかで、子どもの集中力があるかどうかを判断できる。先生の授業での行動は、無意味なものはないはず。意識、無意識に関わらず、必ず、授業を進めるうえで、子どもたちを評価している。こうした、無意識、意識にかかわらず実施している評価を集めて、再度先生に振り替えさせることが必要になるではないか。

■評価のノウハウ集で見せたいものは?
・こうした具体的な授業場面に則したノウハウ集は、あまり世に出ていないもの。やる価値はある。
・ふだんの授業のドラマ性こそが見せたい。「こうやって授業を作る!」ということのマニュアルのようなものにしたい。例えば、新人の教員に教えたいこと、教育学生に伝えたいことをイメージする。
→こういうイメージであればかけそう。という声が先生よりあがる。
・先生たちに、もっともっと授業をうまくやれる=楽しい=子どもの出力が増える、そんなイメージができるものが欲しい。
・えらい先生が上から諭すようなものではなく、同じ視線のもので、考え、悩み、試行錯誤しているものを見せていきたい。
・また、研究授業には、ドラマがないし、意味がない。装った授業ではなく、ふだんから実施している授業を取り上げていきたいと思う。

■評価法の「法」という言葉について
・評価法よりは評価の方がいいのではないか?法という言葉が強すぎる。手法でも硬いか?評価のアイデア集ぐらいがいいのではないか?
・先生自身の授業法の評価というイメージ。評価は指導の裏返し。評価は先生にとっての自己チェック。

■教師はどのようにスキルを身に付けるのか?
・そもそも先生たちは、具体的なマニュアルもないのに、どうやってスキルを身につけていくのか?
→「まねをしてみたい」いい授業を見ることが大切では。しかし、先生は他の先生たちの授業をあまり見れないし、見ようとしない。
・硬い理論を知るよりは、現場のいい授業を見るほうが意味がある。
・いい先生の授業はどこか似ているような気がする。例えば、自分の言葉ではなく、子どもの言葉を使って授業しているのがいい授業の一つの特徴だと思う。

■絶対評価の流れについて
・来年秋にでも、評価の本が店頭に並ぶはず。書籍の内容は変わらず、タイトルぐらいしか変わっていないだろう。具体的な活用シーンを意識した読み物は、そういう意味でもあったほうがいい。
・教育大学に売ってみたい。実際、教育を学ぶ人たちのバイブル、マニュアルが今ないのが実情。そこで困っているであろう人たちに伝えたい。

■ノウハウ集の活用場面は?
・まずは、事例が集まった段階で、集め方、ポイント、観点は整理すればいいのではないか?自分がイメージする活用場面で書いてもらうのがいい。後で整理整頓したい。
・教科を書くのは先生に任せる。どの教科でも使える、〜の教科で使うという視線は先生のもつノウハウに合わせて出してもらう。出してもらってから、それをたたき台にしていきたい。

■ためしに事例収集を…
・ちょっとためしに、今から時間を少しとって、事例がどれだけ出せるか試してみよう。
・簡単な内容でもOK。メモ書きでもOK。
・これまでの話合いを受けて、事例を出し合ってもらう。今から20分で。
先生たちが自ら、事例を出し合うことになりました。

*取り組まれた先生は下記の先生。
*玉置先生、太田先生、佐藤先生、松浦先生、梶田先生、渡辺先生、鈴木先生、酒井先生
詳しくは、回覧する資料を参照。

■先生たちの発表を受けて
・評価ノウハウとして、だぶる要素はでるかもしれいが、具体的な活用シーンは先生によって違うし、その活用シーンごとにノウハウの効果やよさも違うことがある。今回のメインは具体的な活用シーンの紹介にあるので、もっともっと具体的なものを出していきたいと思う。
・上記内容の話を受けて、今後、最終的にはノウハウ集を書籍として出版することを視野に入れて、事例集を作成することを考える。

■次回以降、評価事例に収集に利用するアウトライン
*一つの評価手法について次の5項目を書く。
@タイトル(その評価手法の)
A何を評価するのか(どんな力を評価するのか?例)理解の程度など)
B種別(学年、教科、単元など)
C手法の説明(評価ノウハウがどんなものかをここで説明する)
D実際の場面とその手法のよさ(ここがメイン)
→「実際の場面とその手法のよさ」の事例は一つに限らない。読者に手法の活用法が分かるように、いろいろな教科の場面をあげることを目指す。

・手法は先生オリジナルのものでも、他の先生の事例でもOK。見聞きして、「いいな」と思えた事例でもOK。
・内容については、普段の授業で実践しているノウハウを簡単なアイデアレベルにまとめてくれればよい。論文ではないので、難しい内容を記載する必要はない。
・一人5本から10本程度の手法を書くことをめざす。

ノウハウ集を出版するにあたって
・上記事例集の出版元は「for next」
・また、共著たくみの会として出版するため、それぞれの手法をだれが書いたのかは明示しない。メンバー全員が全ページについて責任を持つことにする。著者は「たくみの会」とし、最後に執筆者の名前を一覧にして掲載する。
・原稿料は現物支給。
・主編者は大西氏が担当。執筆者の各先生は、原稿をテキストで大西氏に送り、編集等の具体的作業は大西氏が実施。
・出版世話人は玉置先生。

*次回のたくみの会では上記のアウトラインに沿って各先生が書けるだけ事例を持ち合い、内容を吟味する。

次回のたくみの会
2001年12月17日(月)19:00〜

以上