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中学校数学3年
関数のおもしろさを味わう自作ソフト「こちら電報局」

玉置 崇:愛知教育大学附属名古屋中学校教諭


関数のおもしろさが十分伝わる授業
わたしカメ 思っていた以上に、生徒達は活発な活動をしてくれました。まず、自分の思いのままの文章が入力できる楽しみがあったからだと思います。単に決められたキーを押すだけでなく、自分で自由に入力できることは、生徒を主体的にするようです。そして、電文はさまざまでも、きちんと見通しを立てて追求すれば、必ず関数関係を見つけることができます。答えはひとつでも、アプローチはさまざまだという数学の楽しさも実感できたのではないでしょうか。
 筆者はこのように楽しみながら数学の概念や原理・法則を発見させるための、コンピュータソフトをいろいろ開発しています。生徒達が、コンピュータ内に作られた擬似的な世界で、コンピュータと格闘(情報のやりとり)をしながら、そのコンピュータ世界のなぞを解いていきます。
 生徒達は必ずコンピュータに働きかける前に、仮説を立てています。そして、その仮説が成立するかどうか確かめ、それによって、次のコンピュータへの働きかけを決めています。自らコンピュータに働きかけ、返ってきた情報を活用して、さらに働きかけをするというインタラクティブな活動をしているのです。
 こうしてコンピュータの世界を解明するなかで、知らず知らずのうちに、数学の概念や原理・法則を発見していきます。数学は、先人が築き上げてきたすばらしい文化です。できるかぎり生徒に、その文化にドラマチックに出会わせてやりたいと思っています。間違っても「こういう公式が昔からあるんだ、覚えておきなさい」などといった、味気ない、効率だけを求める授業はしたくありません。
ぼくカメ また、授業中に、次のような問題点がありました。いろいろ調べてみたいと思いついても、1時間では全部調べることが不可能でした。また、電文を入力する時間差が、追求の深さの差になっている点、つまり、情報基礎の時間でのワープロ技能の習熟がかなり関係していたということでした。
 しかし、今までは、水道料金などを基に、こちらから一方的に世の中の関数関係について説明をして終わってしまっていたわけですが、自作ソフトを使った今回の授業のほうは、問題点があったとはいえ、生徒に関数のおもしろさを伝えることができたと考えています。
学研 NEW教育とマイコン1994年7月号より転載

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