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中学校数学1年
ストップモーション方式による授業記録「当たるのはどこ?」

授業者 玉置 崇:愛知教育大学附属名古屋中学校教諭 記録者 藤岡 信勝

〜授業をされた玉置先生より〜
コンピュータで知的興奮を高めたい
 藤岡先生による授業記録を読まれていかがと思われたでしょうか。私自身は、今回の授業を通してコンピュータによる教材開発や授業実践の面白さを改めて感じています。わたしカメ先生
 授業における子どもたちの活動は、実に様々でした。情報をこまめに集め分析しようとする子ども。処理しやすい整数値になる場合の情報を集めようとする子ども。正比例の関係が潜んでいると予想して、確かめながら情報を集める子どもなど。子どもたちの活動は事前に予想していた以上のものでした。自分で開発した教材で子どもたちが生き生きと活動してくれた。この授業での一番の喜びです。
 また、集団追求における子どもたちの発言には満足しています。「砲台の高さが30の時に当たるのは20である」という事実はだれもがすぐに見つけるものだと思っていました。ところが、増え方に注目して考え、19.999ではないかという意見が出てきたのです。正比例!?コンピュータで活動させているときは、子どもたちは教師の予想を超える活動をする場合が多いものですが、これには正直びっくりしました。このあとの授業展開をどのようにしようかと考えているときに、誤差の循環に注目すれば、やはり20になるという意見が出てきたのです。子どもたちからは拍手が起こり、私自身は、正直救われたという気持ちでした。このような話し合いができたことも大変良かったと思います。
 さて、今までfind outでいろいろと数学の教材を開発してきました。教材開発については自分自身の視点というものを持っています。その視点を大きく分類してみると、次の6項目になります。
  1. 情報を上手に活用させて問題解決させる
     (苦しめて意欲的に活動させる)
     
  2. 図を動かして発見させる
     
  3. 操作しながら問題把握をさせる
     
  4. 計算などの省力化をさせ活動を充実させる
     
  5. 条件変えの支援をする
     
  6. 多様な方法を考えさせる
 今回開発したエリア「当たるのはどこ?」は、「情報を上手に活用させる」という1の項目にあたるものです。制限がある中で得られた情報を上手に活用させて、課題解決に向かわせることをねらっているからです。欲しい情報が出そうで出ない状況を作ることにより、子どもたちの知的活動を高めることを意図しているからです。このように、制限を設けておいて、実際にシミュレートできない場合の数値を求めさせる教材は、コンピュータ活用ならではのものだと思います。子どもたち一人ひとりがコンピュータに働きかけることによって、コンピュータは何らかの情報を与えてくれます。プリント教材のように画一的な情報ではなく、いろいろな情報を得ることになります。したがって、子どもたちの情報活用の仕方は様々となり、数値確定までのアプローチは実に多様になってきます。ぼくカメ私自身は、そこに子どもたちと授業を作っていくときのおもしろさを感じています。また、それはコンピュータ教材のよさだと考えています。一斉授業では、これほど個々の考えに対応してあげることは残念ながらできません。こちらから働きかければ、律儀に情報を与えてくれるコンピュータがあってこそ、子どもたちの知的活動が活発になり、知的興奮が高まっていくのだと思います。
 「コンピュータで子どもたちの知的興奮を高めたい」これは、find outに向かって教材開発をするとき、いつも心がけていることです。
Benesse Corporation find out通信第19号より転載

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