第54回小牧落語を聴く会
新企画 東西若手激突!

古今亭 菊之丞vs桂 紅雀
平成15年3月2日(日)

演   目 
菊之丞(湯屋番・愛宕山)
紅雀(餅屋問答・いらち俥)

パンフレットから

 ご来場御礼申し上げます。今日は新企画「東西若手激突」シリーズの第1回です。昨今は大阪の噺家が東京で独演会をひらいたり、あるいは東京の噺家が大阪で、という話を聞きますが、それは二十年・三十年のキャリヤの噺家のこと。東西の若手同士の二人会はまだまだ珍しいのでは。新しい「小牧落語の名物」になればと期待しています。

 第1回の時の世話人の挨拶に「将来の名人・上手の若い頃の高座を聴く会に」という小牧落語を聴く会への想いが語られています。十五年たって当時若手だった噺家も、今では中堅以上の人気者になっています。そういう意味では、我々が「初心に返る」企画と言えるかもしれません。

 菊之丞さんは、1995年出版された『落語ワンダーランド志ん生』の「夢の定席」の企画で既に前座として選ばれていた注目株。九月には真打昇進です。紅雀さんは当会へは二回目。前回は雀々さんの前座としてでした。
 
 東京の「蒟蒻問答」を大阪へ移した「餅屋問答」と、大阪で活躍していた円馬が文楽に伝えたという大阪種の「愛宕山」。東西交流にふさわしいネタがならびました。外の春を感じさせる日差しのようにあたたかい眼差しで、東西の落語をお楽しみください。

ロビーで若手噺家二人が、お客さまをお見送り。

からむニストから   

  
「第54回小牧落語を聴く会」を、小牧商工会議所会館で見た。東京の古今亭菊之丞(円菊の弟子)と、大阪の桂紅雀(枝雀最後の弟子)の顔合わせである。

 四年ほど後輩の紅雀は、まず「いらち俥」。元気いっぱいの演者だけに病み上がりの俥屋くだりが一段と笑える。次の「餅屋問答」は、京都の「桂米朝落語研究会」での初演の方がやや上だが、実にニンにあった噺。「坊主がドテラで・・・武田信玄の夜逃げやがな」は、何度聞いてもおかしい。訪れた雲水の禅問答はもう少し重々しく。

 菊之丞は、まず、若旦那風の顔にぴったりの「湯屋番」で、居候のボヤキのくだりなどをたっぷり。空想の中の女が「泳ぐように出てくる」のは、気が焦って足がもつれたための形と心得てほしい。「愛宕山」の、縄をなうしぐさも一考を。

 ともあれ、東西の明日を担う若手の、対照的な高座で、雰囲気は最良。企画賞ものの会だった。                        (楽互家)

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