平成13年10月7日
演目  鰻屋・犬の目・お神酒徳利

 

パンフレットより

すっかり秋らしくなりました。あちこちでコスモスが風に揺れるさまを目にするようになりました。お運びで御礼申し上げます。今日は、落語芸術協会の春風亭鯉昇師匠をお迎えして江戸の古典落語をお楽しみいただきます。

高校で国語を教えていると、高校生は本当にものを知らない。今日の演題の「お神酒徳利」もそうでしょうが、彼らにとっては見たことも触ったこともない知らないものが物凄い勢いで増えてきています。特に自然界のものは彼らがもっとも苦手とするものでしょうか。子規の「鶏頭の十四五本もありぬべし」が、文字通りニワトリの頭が並んでいるというホラー俳句になってしまうのですから、鑑賞以前の問題です。

職場のトイレに折々の草花を活けてくれる先輩がいて、この秋は「ミズヒキ・コルチカム・フヨウ・ムクゲ・シュウカイドウ」などを楽しむことができました。

中でも金平糖のような可愛らしい花をつけた「ママコノシリヌグイ」は初めて見る草花で、かわった名前でもあり命名に興味をひかれました。茎に小さな棘があり、継母がその草で継子の尻を拭いてやると・・・という、ちょっと哀しいものでした。

高校生でも、さすがにコスモスだけはよく知っているようで、毎年この時季になると、誰の句かは忘れてしまったのですが、次の俳句を紹介してやります。
「コスモスと電話をかける女かな」
しばらく句の意味を考えさせてからおもむろにヒントを言うのです。「この女性は東北出身の人だね」と。

おあとがよろしいようで。

 

からむニストより

「めったに聴けぬ人情噺」

 「第48回小牧落語を聴く会/春風亭鯉昇独演会」を、商工会議所会館で見た。部屋を変えて声の通りもいい。


 小生は初見参だが、平成八年に芸術祭最優秀賞を受け、いま四十八歳。先代金馬のような個性的なマスクだがソフトな口調で「落語でも何でも、力を入れたり欲を出すとよくない。私も無欲で演じますから、皆さんは安心してお聴きになるか、今のうちにお帰りになるか・・・」と、客を掴(つか)む。

 アメリカ人のジャンケンは、グー、パー、チョキだなどとまことしやかに語って落とす呼吸は、なるほど新作爆笑王の柳昇の弟子らしい。

 電気うなぎ(魚河岸でなく秋葉原で仕入れた)も登場する「素人うなぎ」と「犬の目」を続けて演じ、中入り後に、めったに聴けない上方ダネの、三十分を超える人情噺(ばなし)「お神酒徳利(どっくり)」をたっぷり。筋は知っていたが聴くのは初めて。充実した会だった。次回は十二月二日。          (楽互家)



鯉昇の噺でゲタゲタと

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