第43回小牧落語を聴く会



平成12年7月2日

親子酒・崇徳院・G&G

パンフレットより

いっぱいのお運びでありがたく御礼申し上げます。なにか今日は会場が一杯になるようなそんな予感がしましたから、何年かぶりに広くしました。ちょうど30回の吉朝師匠以来の3年ぶりの大会議室全面使用ということになります。すごいですねやはり、枝雀一門は。小牧のこの会の入場者数の記録も上位はほとんど枝雀一門ですから。困ったら枝雀一門、起死回生なら枝雀一門。まるで江戸芝居の狂言『仮名手本忠臣蔵』みたいですね。

その枝雀一門の中でも、今日は「落語の鉄人」雀三郎師匠。当会へは実に7年ぶり三回目(なんや高校野球みたいですが)の来演です。思い出します。「アルカリ落語セレクション」と題して、これでもかこれでもかと新作三本の嵐で会場を爆笑のうずにまきこみました。

あれから7年、随分ご無沙汰しました。その間雀三郎師匠は、知らないうちに「落語の鉄人」にまでのぼりつめ(誰かと対決したんですかねえ)てしまっていたのです。そして、またの名を「歌う落語家」。歌うといっても『崇徳院』の「瀬を早見み〜」ぢゃありませんよ。ご存じあの名曲『ヨーデル食べ放題』。なんでも今週銀座の山野楽器店で1時間で五十枚完売したとか、目下ダイブレイク中。当会ではすでに昨年の雀松さんの会で大々的にキャンペーンを致しました。県下の一部の高校では毎日のように昼の放送で流れた(正確には「流させた」)そうです。

今日は「ヨーデル〜」はありませんが、小佐田定雄さん作の新作落語『G&G』(なんの略でしょうね?!)、これで歌ってもらいます。「歌う落語家」の面目躍如、面白いですよ。そして、『崇徳院』と『親子酒』、「鉄人」の腕によりをかけて演ずる古典落語二席。最後までごゆっくりお楽しみください。

カラムニストより

「第43回小牧落語を聴く会/桂雀三郎独演会」を商工会議所で見た。

桂枝雀の二番目の弟子で、50歳を迎えてエネルギーは衰えず、三席を熱演。「親子酒」のマクラで「大阪がとりわけ暑いわけやなくて、言葉が暑いんです。”あアーフーウ!!”」と、とてつもない声を出すおかしさが、クーラーがいまひとつ効かない会場で、一段と受けた。

次の「崇徳院」は、さまざまな演者で聴いた噺だが、若旦那の恋煩いの相手を、百人一首の歌だけを手がかりに探し歩く熊五郎が、何もつかめぬままヘトヘトになって帰宅したのを、大旦那が呼びつけ、結納の日取りまで一方的に言い立てるくだりで、当惑した熊が、「まだわかりまへん」と答える前に口をゴモゴモさせ”そんなに簡単にわかるかい!”という表情をする演出が出色。

三席目の小佐田定雄作「G&G」は、老人ロックバンドの噺で、高座でギターを奏で「どうにも止まらない」などの替え歌で客席を沸かせた。

野太いだみ声の”コテコテの大阪味”の上に、工夫と洗練を加えた雀三郎。今後がさらに楽しみである。(長寿戯画)

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