第42回小牧落語を聴く会

平成12年3月5日

宮戸川・紺屋高尾

パンフレットより

お運びをいただきありがとうございます。本日は東京から万全の体調の(?)柳家花緑師匠をお招きしました。ご存知人間国宝・柳家小さん師匠のお孫さんです。とにかく”元気・バクハツ・若武者”といった感じの高座を大いに楽しんでください。

一席は「宮戸川」です。この噺は前編と後編に分かれていて、現在寄席で演じられるのは前編の方、後編は面白味に欠けるため演じられません。その後編に登場する、お花がならず者に投げ込まれてしまう(半七が見た夢の中での話ですが)川の名が隅田川の下流の別名・宮戸川なのです。

二席目の「紺屋高尾」は「紺屋になった高尾太夫」の噺。この噺にも後日談があって紺屋の跡を継いだ高尾と夫が手ぬぐいの早染めを考案したところ、客は高尾見たさに殺到し、江戸中の大評判。高尾が店に出て藍瓶をまたいで染めるので、お目当ての高尾の顔が見えないため、客が争って瓶の中をのぞき込んだということから、この染め物に「かめのぞき」という名がついたという由来話となります。高尾太夫というのは代々の吉原の名妓で十一代まであったといいます。「仙台高尾」などのように「○○高尾」と呼び区別していますが、この噺に出てくるのは六代目だそうです。

「宮戸川」と「紺屋高尾」。花緑師匠の魅力がいっぱいの二席。ごゆっくりお楽しみください。

からむニストより

「第42回小牧落語を聴く会」は、40回のとき急病で代演となった柳家花緑の出演。今回は花粉症を薬で抑えながらの高座だが、勢いがあってスジがいい。

まず「宮戸川」は、遅く帰宅して閉め出された半七と、隣家のお花が、半七の伯父の家へ泊まりに行く噺。「伯父がヨルダンに居る」などのアナクロニズムのギャグも、28歳の演者にはマッチする。ただし伯父が、半七の背後から現れたお花の姿に、持ち前の早合点をする瞬間は、もう一呼吸置くと、おかしみが倍加しよう。

次は「紺屋高尾」。染物屋で働く九蔵が、当時の”大名道具”と言われたおいらんの高尾太夫に一目惚れ。3年間懸命に働いて10両の金をため、大金持ちの若旦那を装って三浦屋へ登楼。翌朝すべてを打ち明けるくだりがいい。「道で会っても知らないふりしないで『九ちゃん、元気?』と声をかけてやって下さい」・・・。

この噺、前回代演した立川談春につけてもらったという。つまり立川談誌バージョン。なるほど談誌は才人だなあ。だからさ、世相ぼやきばかりじゃなく、落語も聞かせなよ。(浮世亭)

お客様より

今日はお疲れ様でした。楽しい落語会をありがとうございました。

私は、花緑さんと同い年なので、真打ち昇進のちょっと前から気になっていてずっと応援しています。宮戸川と紺谷高尾は花緑さんの得意ネタのようで何回か聴いていますが、今回は特にのびのびと楽しそうに演じてらしたように見えました。会の雰囲気がアットホームな感じだからでしょうか。次回も楽しみにしています。

個人的には、三太楼さん、談春さんが聴きたいとわがままなリクエストをいたします。今後の会のご発展をお祈りします。

戻る