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平成9年12月7日

演目 牛ほめ/宗教ウオーズ/代書屋

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○ 大熱演!宗教ウオーズ   ○ 高座を終えた師匠    ○ 福笑ワールドをたっぷり

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○ 名物、オリジナルコースター ○ パンフレットと寄席通信 ○ 色紙(抽選で当たります!)


<パンフレットより>

 今年のNHKの朝の連続ドラマは、芥川賞作家吉行淳之介の母・吉行あぐりの半生を描いた「あぐり」。彼女の明るく前向きな生き方に、世代間のバランスのよいキャスティングも手伝って(要するに野村萬斎なのだが)、ずいぶんと人気になりました。加えて、90歳を越えていまだ現役の美容師として活躍する「あぐり」さんの実像も何度か紹介され、その高齢化社会のお手本のような生き方も感動を与えました。

  ところで、それに便乗したわけでもないでしょうが、九月に新潮社から「吉行淳之介全集・全15巻」の刊行が始まりました。全短編を収めた4巻のうち現在2巻までが書店にならんでいます。受験シーズンになると、他人の親切でどんどん敷地や住宅が立派になっていく高校教師の苦悩を描いた「悩ましき土地」や、療養中の病院の大部屋での生活を淡々と叙した「漂う部屋」、二人の女性との関係の板挟みになっている男性の苦悩を数十枚の手縫いのパンツをめぐって綴った「風呂焚く男」など、彼の短編の中には「滑稽な話」とよべるような作品がいくつもあります。しかし、それはうけを狙ったり、奇をてらったりしたものではなく、ありふれた日常の、何気ない人間の姿をありのままに描いていながら、実に滑稽でおかしい作品なのです。ちょうど、碁好きの二人が巧まずしてつくりだす滑稽な世界の落語「笠碁」や、富くじに当たり一人で苦しむ異常な心理を描く落語「水屋の富」のように。人間の営みの中にいかに滑稽でおかしいことが多いか、淳之介の目にはそれがよくわかっていたのだと、あらためてその人間理解の深さ・人間観察の鋭さを感じました。

  さて、お運びをいただきありがとうございました。平成9年もあと二十日余りとなりました。暗いニュースの多かった97年ですが、師走のひととき、ごゆっくり「福笑ワールド」をご堪能ください。そして平成10年が平和で明るい年でありますように。

<笑福亭福笑師のプロフィール>

昭和24年大阪生まれ。昭和43年10月六代目笑福亭松鶴に入門。30代になってから新作を手がける。その過激さで一部熱狂的な支持を得ている。新作には「瀞満峡」「狼の挽歌」「あげてよかった」「憧れの甲子園」など傑作が多数。

構成は細密でオチも効く <からむニストより>

 「第33回小牧落語を聴く会」で、笑福亭福笑を聞いた。十数年前から新作を手がけている関西の異才、三度目の来演である。

 「新作結構だが、下に”落語”とつくとどうも面白くない」とは、古今亭志ん朝の名言で、からむ子も基本的に同感。だが、福笑の新作には、上出来のものがある。

 昨年の11月に「平成紅梅亭」(読売テレビ)で演じた「憧れの甲子園」は、甲子園の初戦で敗れた高校の監督が選手の前で冷や酒をあおりつつクダを巻く話。笑い上戸に泣き上戸、怒り上戸が交錯する”本音”のブラックユーモアで、古典落語「ひとり酒盛」「らくだ」などの”酔態の独演”パターンの、今日的傑作と言える。

 今回の新作は「宗教ウオーズ」。寺と神社のいがみ合いが、町長がとりなそうとしたためにかえってエスカレートする筒井康隆的ギャグの連射。「そういうことしてるから、統一教会とオウムに足元すくわれるんや!」にはひっくり返った。

 過激だが、構成は細密で、オチも効く。「牛ほめ」「代書屋」も、福笑が演じると新鮮なのだ。(新古典派)

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