CESSNA INTRO FLIGHT

セスナ体験操縦フライト記
インストラクターの井上さんと
「大空を自分の手で操縦して飛んでみる。」
夢のように思っていることが,実は,意外に
簡単に実現します。
これは,その体験操縦のレポートです。

体験操縦フライト
 残念ながら,日本国内では,気軽に体験操縦フライトとは,いかないようです。過去に地方空港でこの種の企画をした会社がありましたが,立ち消えになりました。きっと,法令などの壁にはばまれたのでしょう。
 ところが,海外,特に米国等では,気軽に操縦桿を握れます。その気になれば,即,訓練生扱いで,教官といっしょに飛ぶことができます。日本では,訓練を始める前にしておかなければならない身体検査も,米国のFAAのきまりでは,ソロ(単独フライト)までにしておけばよいそうです。
 米国なら,どこでもできますが,日本人観光客の多い西海岸やハワイ・グアム・サイパンには,日本人や日本語のできるインストラクターを用意して,言葉の壁なしに体験操縦フライトができるスクールがいくつかあります。これらの地域は,格安航空券を使えば,へたな国内旅行よりも安い費用で行けますし,グアム・サイパンなら時差も1時間,3時間あまりのフライトで到着します。「週末は,ちょっとセスナに乗りに。」なんてのも,無理なことではありません。
グアム国際空港 グアム国際空港

どこでフライトしたのか
 今回は(といっても初めてですが),グアムで飛びました。観光フライトも行っているミクロネシアンエアーMICRONECIAN AVIATION SYSTEMS,INC.にお願いしました。東京の代理店を通して予約をしておきましたが,現地で直接申し込むことができます。中には,遊覧飛行のオプショナルツアーに申し込んで,送迎の車の中で体験操縦ができることを聞き,変更した方もあるそうです。ただし,現地の大手オプショナルツアー会社では,「遊覧飛行」はあっても「体験操縦」はリストにのっていません。日本語で,直接電話しましょう。(649-2313)
 料金は,ミクロネシアンエアーの場合,事前講習・1時間のフライト・送迎込みで225ドル,同乗者は遊覧飛行料金ですが,ここで体験フライトをすると,自動的に1年間はクラブ員扱いになり,次回からは,1時間あたり機体100ドル+インストラクター28ドルでレンタルできます。この場合,同乗者は定員以内無料です。(料金関係は98年12月のもの)1年後にクラブ員として更新する場合,100ドル必要です。
 別の会社ですが,サイパンやハワイでは,また違う料金やシステムで運営されています。

実際のフライト
 では,実際の体験操縦フライトにご案内しましょう。
 約束の時間きっかりに,社長さんの宮治さんがホテルのロビーにピックアップにみえました。車中で雑談をしているうちに,ほどなくグアム国際空港へ到着。ターミナルビルの西側のゼネラルアビエーションの地区にマイクロネシアンエアーはあります。社屋の2階にて,実物大の計器パネルの写真の前で,簡単なレクチュアーを受けます。パソコンソフトのフライトシミュレーターをご存じの方なら,知っていることばかり。
 空港内の制限区域に入るので,IDバッジを首からかけて,インストラクターの井上さんといっしょに,車にてエプロンに移動します。
ランプエリア ランプエリア
フライトプラン
 フライトの内容は,気軽に相談に応じてくれます。離陸後グアム島を1周して着陸すると,ちょうど1時間ですが,ちょっと本格的にトレーニングがしたい場合は,島の北部をカットして,南部のココス島上空の訓練空域で,上昇・下降・旋回などのトレーニングをすることもできます。私は,このプランを選びました。
テイクオフ(離陸)するまで
 機体のチェックは,インストラクターの井上さんがやってくれます。もっとも,やってみろと言われても,何もできませんが。その後,コクピットに乗り込みます。もちろん,左側機長席に。大柄なアメリカ人用に設計されているので,椅子の前後が小柄な私には合いませんでしたが,背中にクッションを入れて,ペダルに足が届きました。上下は大丈夫だったのですが。(胴長なのでしょうか。)
 エンジンスタート,無線関係はお任せして,いよいよタクシーアウト。ペダルで方向を決めますが,フリーにしておくと安定が悪いので,常に両方のペダルに力をかけておきます。右に曲がるときは,右のペダルを踏み込みますが,スキーとは逆の関係(スキーでは,右にターンするときは,左足を踏ん張る。)なので,注意を。最初は,なかなか思うような方向に進みません。
タキシー中 正面はエアマイクB727
 ランウエイの手前で,パーキングブレーキをかけて,離陸前のチェック。タワーにクリアランスをもらって,いよいよ離陸です。もちろん,このあたりは,井上さん任せですが。米国では,航空無線に免許はいりません。
離陸
 いよいよ,離陸です。スロットルを確実に押し込んでフルパワーに。トルク反動とプロペラ後流で機体が左にとられるので,右のペダルを踏み込む必要がありますが,ペダルは井上さんにお願いして,操縦桿に集中します。55ノットで手前に引き,ローテーション。75ノットを維持して上昇します。気がついたときには,ターミナルビルが下に見えていました。いとも簡単に浮いています。速度が落ちてきていることに気づかず,指示を受けて操縦桿を少し戻しました。タワーからライトターンの指示で右旋回して南の海岸に向かい,海岸線に沿って,ココス島上空の訓練空域に向かいます。
離陸 テイクオフ 離陸 テイクオフ
水平飛行
 しばらくは,水平飛行です。エンジン回転数を2300RPMに保ち,ダッシュボードと水平線の間隔で水平感覚をつかみます。姿勢指示器や昇降計も参考にします。トリムが取れていて,気流が安定していれば,簡単です。トリムは,井上さんに調整してもらいました。この頃になると,すこし景色を見る余裕がでてきます。
タロフォフォの滝 タロフォフォの滝

南部の山地 南部の山地

海岸線 海岸線
上昇
 エンジンをフルパワーにし,80ノット前後を保つように操縦桿を引いて,上昇します。上昇すべき高度に達したら,まず,水平になるよう操縦桿を調整し,エンジン回転数を,2300RPMに戻します。
降下
 キャブヒートを引いて,着氷を防ぎ,エンジン回転数を1500RPMまで落とします。操縦桿を調整して,同じ速度を維持しながら降下します。指定高度になったら,水平になるように操縦桿を調整して,キャブヒートとエンジン回転数を戻します。
ココス島 ココス島
旋回
 基本的には,操縦桿をまわして,20〜30度ぐらいのバンクを取り,旋回します。旋回計の黒い玉が中心に留まるように,ペダルを踏みます。はじめは,高度が維持できませんでしたが,井上さんに教えられて,ダッシュボードと水平線のあたる位置と角度を基準にしたら,高度を保ったまま旋回できるようになりました。
旋回中 旋回中
着陸
 エアマイク(コンチネンタルミクロネシア航空)の到着ラッシュの時間なので,アプローチの指示でアプラハーバー上空で旋回しながら少し待ち,B757に続いて,ランウエイに進入していきました。
右側は旧日本軍基地滑走路跡 アプラハーバー上空
 タワーから着陸のクリアランスをもらい,滑走路の軸線にのり,どんどん降下していきます。本来なら,速度とフラップ,エンジンのパワーの関係がありますが,実は,このあたりは,ほとんど井上さんにやってもらいました。素人が,そんなに簡単にできるわけがありません。目の前にランウエイが近づいてきます。進入角指示灯も見えます。想像していた以上に,滑走路に落ちていく感じです。ちょっと早めに操縦桿を引いてしまいましたが,フレアの感覚は,コンピュータのフライトシミュレーターよりつかみやすく,最後にストンと機体が沈んで,車輪が接地,ゴーという音と,振動が伝わってきます。本来は,ペダルの上部を踏んでブレーキをかけるのですが,グアムの滑走路は長く,あまり早く減速すると後が長いので,そのまま,惰性で進み,D誘導路よりランプに向かいます。
まもなく着陸 ファイナルアプローチ
 決められたスポットに入り,体験フライト終了。ログブックに記入してもらえば,正式な訓練時間になります。ログブックは,日本の形式のものが,現地でも販売していました。もちろん,購入して記入してもらいました。フライトタイム1時間の訓練生の出来上がりです。

その後
ライセンス
 実は,体験操縦フライトは,これだけでなく,後日,もう一度行いました。クラブ員価格で,家族をバックシートに乗せて飛びました。フライトプランは,離陸後,恋人岬,アンダーセン空軍基地,タロフォフォの滝,ココス島,アプラハーバーと,グアム島を一周してから,グアム空港でタッチアンドゴーをしてランディングというものです。2回目ともなると,テイクオフも余裕を持って味わい(?),井上さんと雑談しながらフライトする大胆さ。1回目より2回目,2回目より3回目と,ぐんぐん上達するそうです。ただし,ある程度進むと,上達のペースは落ち,細かい課目でスランプに陥ることもあるとか。だいたい,70〜80時間のトレーニングで,米国の固定翼自家用ライセンスが取れるようです。しかも,ミクロネシアンエアーの場合,9000ドルでギャランティーコースがあります。実際,休暇を利用して,何回かに分けて,ライセンスを取りにきている方もみえました。米国のライセンスは日本のものに書き換えができるので,費用的にも,夢ではない話です。
 名古屋のN航空に勤める親戚の人に聞いたところ,N航空では,費用的にはもう一桁分以上は多いそうです。レンタル費用も機種によりますが,N航空では,1時間10万円(!)だそうです。国内では,ちょっと費用的に無理ですね。でも,グアムなら...。
 グアムでのライセンス取得に,本気になりそうな自分が,おそろしくなりました。
フライトシミュレーター
グアム国際空港6Rを離陸 6Lに着陸
 そもそも,体験操縦フライトを思いついたきっかけが,パソコンソフトのマイクロソフトフライトシミュレーターです。3年前に,パソコンを買ったついでに始めたのがきっかけで,今では,このソフトのバージョンアップに合わせて,パソコンやビデオカードを買い換えるぐらいのはまりようです。パソコンでのフライトタイムは,事業用の免許が取れるぐらい飛んでいます。
 しかし,けっこういい加減に飛んでいました。スロットルはフルかアイドル,フラップは150ノットでもスピードブレーキがわりに出す。キャブヒートは,さわったことなし。ディスプレイには,もっぱら外部視点の機影。
 ところが,体験操縦の後は,きっちりコクピット視点で,手順を踏んで飛ぶようになりました。もう一度,各フライトシミュレーションソフトのマニュアルやフライトスクールを読むと,また違った視点でリアリティを持って理解できるようになりました。パソコンパイロットのみなさんも,一度体験フライトすると,より深くフライトシミュレーターを楽しめるようになると思いますよ。
 大満足の,セスナ体験操縦フライトでした。ミクロネシアンエアーの宮治さん,インストラクターの井上さん,ありがとうございました。また,飛びたいです。
ファイナルアプローチ
* 写真の一部は,同乗のWさんに撮っていただきました。ありがとうございました。