式の計算  p13−p15 §1 式の加法・減法(その1)

用語をきちんと理解させることにつきる。理解させるとは、自分で例を出して説明できるレベルである。つまり、「多項式とは何ですか?」と問いかけたら、自分で例となる式を書いて、説明できるレベルである。では、どうしたらそういう力がつくか。子どもに目標を持たせ、ノートに書かせたり、実際に説明させることである。やらせてみなければ身に付かない。
次数などの用語の理解は、豊かな例を示すことである。100次式など、極端な例を示すと子どもはイメージをもつことができる。
「同類項をまとめて簡単にしなさい」という問いが、p18では「計算しなさい」という問いになることに注意する。この場合も黒板を上手に利用して、文字を少しずつ変えて、いわゆる類題をどんどん示し、<例 6aー2b+3bー4a→6cー2b+3aー4cのように少しずつ文字をかえる>、理解が遅い子どもにも自信をもって発表できるように工夫する。○つけ法も有効である。

式の計算  p16−p18 §1 式の加法・減法(その2)
「2つの式をたしたり、ひいたりするには、それぞれの式にかっこをつけ、+、−の記号でつなぐ」この記述を理解させることが第一のポイント。一つの式でひとかたまりであることを強調しておく。
また、p17の筆算形式では、同類項を揃える必然性を子どもから引き出したい。したがって、初めから同類項をそろえた式を提示しない方がいい。また、連立方程式の学習を考えて、筆算形式の引き算をしっかり指導しておくことが大切である。生徒が間違う可能性が一番高いところである。
かっこのついた式は、やはり引き算の場合が一番誤答が多い。ある程度の練習、特に時間も意識した練習が必要である。

式の計算  p19−p21 §2 単項式の乗法・除法

面積図を使って乗法を考えることと、式との関連を持たせておきたい。p19の図であれば、abが2×3個あるととらえさせておきたい。
誤答が多いのは、指数が含まれる式が圧倒的である。p19の2(2) −(−x)2などは生徒が「分からなくなった」という最たる問題である。指数が含まれる問題をある程度整理しておくことと練習量はやはり必要である。自分がどのような問題で間違えたかを意識させておくことも大切である。また、符号だけを先に決めて計算すること、これも誤答を少なくする良い方法である。

式の計算  p22−p23 §3 文字式の利用

地球の赤道のまわりに、地球から1m離して電線をはったとすると、その長さは、赤道の長さよりどのくらい長くなるでしょうか。
この教科書の導入題で文字を使って問題解決をするとよいことを感じさせるには、やはり工夫がいる。問題文には文字が初めから定義されていないところがよい。これをうまく利用する。
「まず、問題を解くには何を知りたい?」などと投げかけるとよい。すると、電線の長さや赤道の長さ、地球の半径といった考えが出されるであろう。そこで、地球の半径を知っている人はいるか?資料集やインターネットで調べようか?などと問いかけてみるといい。そのまま素直に受け取るようであれば、資料集などで地球の半径を調べようとすればよい。しかし、きっとそんな細かなことを知らなくても、半径を文字でおけばよいといった意見も出てくるはずである。また、そのように思っている生徒は必ずいるはずである。意図的指名をすればよい。文字の使うよさを知らせる良い機会である。大切にしたい。
次に、半径をどのようにおくか、子どもたちは「x」とか「a」といったことを言うだろう。特に文字であれば何でもよい。ただし、大切なのは、半径の単位である。普通であれば、kmとなるわけだが、「1m離して」という条件があるため、当然、半径の単位もmの方がよい。こういった考えを子どもから引き出したい。教科書のように、初めから半径の単位をmと決めたのでは、この問題の良さは半減してしまう。p22の1は、初めから文字の指定がしてある。せっかく地球の問題で文字をおくことを教えたので、この問題でも子ども自身に定義させたい。
 p23の問、2つの数の問題も同じである。初めから教師が偶数や奇数を定義してしまっては、問題に取り組む価値は半減する。子どもに文字を使って表現する必要性を感じさせなければいけない。具体例を挙げる限界を知らせることである。奇数+奇数=偶数であることを説明するのに、3+5=8と示しても、この場合だけになりたつことかもしれない。どんな奇数でも成り立つことを言うのには、文字が便利であるという考えを引き出したい。

連立方程式 p29−31 §1 連立方程式とその解
教科書の導入題である写真の問題を上手に扱いたい。特に初めから表を与えて整理してみようなどといった展開は、この問題のよさを半減させてしまう。とりあえず問題を把握させた後、子どもたちがどのようにして「大小2種類の写真を、それぞれ何枚焼き増ししたのでしょう。」という問いかけに答えるのかを掴みたい。
その上で、表にして整理すると情報は掴みやすいこと、また、何通りも答えがあること、答えを特定するためには、あとどのような条件が加わればよいかを考えさせたい。
必ずしも「写真の合計」だけではなく、大小の差でもよいわけである。p31の問4では、合計が14枚と指定された場合の問題と見ることができるように指導しておきたい。
連立方程式 p32−37 §2 連立方程式の解き方

強調すべきはただ一つ。文字を1種類にして、1年生で学習した一元一次方程式を作り出すこと。代入法や加減法という言葉を先行して教える必要はない。いくつかの方程式を解いてこそ、言葉の意味が分かるものである。加減法で解いた方が効率的なものも、代入法も活用して解いてみて、そのよさが分かるものである。分かっている教師が教え急ぎをしても、相手には伝わらない。
複雑な連立方程式、たとえば、係数が分数であったり、式が整理されていなかったりする問題に向かわせるときは、これまでの問題との違いを意識させることが大切である。その上で、これまでできた問題と同形式にするにはどういう工夫が必要が考えさせることである。こうした過程を抜くと、たとえ解くことができても、考える力はつかない。
正確に解くことも大切であるが、ある程度のスピードで解けるようになることも大切であることを強調しておきたい。

連立方程式 p38−42 §3 連立方程式の利用

いきなり連立方程式を使って解いてみようと言っても、なぜ?ということになる。p38の例題を板書し、とりあえずばらとゆりの本数を求めてみようと投げかけたい。もちろん、連立方程式を立てて解決しようとする子どももいるだろうし、表を使って、あるいは勘でこれくらいだと予想して題意にあうように調整する子どももいるだろう。いくつかの解法を比較させた上で、連立方程式のよさを感じとらせたい。
それ以後の問題に対しては、連立方程式のよさを味うを方針として、まず立式までの考え方を身につけさせたい。スラスラと立式できる子どもは実際は少なく、ある程度の問題量にあたらせることも必要である。もちろん、なぜそのような式を立てることができるのかという過程を共有しておかないと、いつまで立っても全体の力は上がってこない。共有化の手だてとしては、それぞれ個人で問題文と式との関係を口頭で説明する作業を入れることを試みたい。つまり、問題文がこうだから、式がこうなって、ここのところがこういうことだから、こういう式になる、といったことをさせるのである。立式ができない子どもへの特効薬はなかなかない。こうした思考を口に出させることが1番ではないかと思って実践している。あとは、文字の定義、立式、方程式を解く、解の吟味の4過程を押させておきたい。

一次関数とグラフ p48−51 §1 一次関数
水そうに水を入れていく題材が導入で扱われている。これをうまく利用したい。自分自身は関数を学習する場合は、初めから変域をきちんと定義すべきで、教科書のように突然扱うものではないと考える。したがって、水そうの深さを1mなどと定義をしておき、変域を初めから意識させておきたい。
また、初めに表ありきではなく、毎分2cmの割合で水面が高くなるように水をいれるとすると、高さは時間の経緯とともにどのようになるか、つまり時間が経てば、水面が高くなるといったおおざっぱな見方をさせた上で、表を使ってしっかり様子を掴んでみようかなどと展開していきたい。変わり方の違いを表だけでなく、式で表現してみると、1年生で学習した正比例と違った式がでてきている。これを一次関数というのだ、というように、調べた結果に新たな学習内容が出てきたというように授業を進めたい。