記録2 ペッグゲームを数学化しよう!

     ☆ 参加者 8名(ニックネーム 桃陵エイト)

     ☆ 参考文献  問題解決過程と発問分析 片桐重男著 明治図書

今日の最終目標はこれだ!

ペッグゲームというパズルがある。

2色の駒(例えば黒と白)がある。これを左右に5個ずつ並べる。そして中央に1駒分だけ空間がある。1回にどちらかが1つの駒を進め、途中相手の駒を一度に1個だけ跳んでもよい。左右の状態が初めと逆になるようにする。それには、最小何回駒を動かすことになるか。                        

 

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このゲームを数学的に解明することを最終目標にしてがんばろう。

 

黒板に磁石を使って、ペッグゲームについて説明する。

2色の色の紙を渡して、実際に駒を作り、ゲームに取り組むことから始める。

最小回数を調べる段階にいく前に、左右の状態を逆にすることがまずできない。先生、これって本当にできるの?といった声も上がる。

そのうちに一人できたという声。「回数は?」「76回です」

「とにかくできたということでもえらい!やっぱりできるぞ」と激励。

ここで、「先生、駒は戻ってもいいの?」という質問。その声に対して、76回という生徒が「戻ってやって76回だよ」という返答。「そうか、戻らないとできないのかなあ」というとぼけた応答をした。

ここで、さらに時間が経過。「できた!35回」

「えっ、35回。それは戻ったの?」「確か戻らなかったよ」と言いながら、再度やろうと思っても、再現できず。

このようになかなか左右を逆にすることができない。

数分後、35回でできましたという声が上がる。最初に35回と見つけた生徒も再度できたと発表。

どうやら、35回に落ち着きそうな気配が出てきた。

ここで、どうしたらもう少し楽にできるのかを考えさせた。

「いくつ跳んでもいいことにする。」「左右が逆になればいいことにする」「戻ってもいいことにする」といったアイデアが出された。

これは発問のまずさを露呈することになった。子どもたちは、問題の条件を変える方向にいっている。ここで意図したことは、問題の条件は変えず、35回だということをもう少し簡単に見つける方法はないかということだ。そこで、「35回に違いないとはっきりするための方法を考えよう」と投げかけたが、反応は返ってこない。

行き詰まりを感じて、こちらからアイデアを提示することにした。「こういう場合は、駒の個数が少ない場合から考えてみよう。この場合ならはっきりできるといったことから始めると見えてくるものだ」と説明をし、まず個数が左右が1個ずつの場合から調べることにした。

左右が1個のとき  3回
左右が2個のとき  8回
左右が3個のとき 15回

このようにまとめることができた。そして、4個の場合、5個の場合を予想させた。そうすることで、自ずと規則を見つけだす子どもも出てくると予想したからである。

ある子どもが、個数×(個数+2)になっていると発表した。したがって、4個のときは、4×(4+2)=24回、5個のときは5×(5+2)=35回となり、話が合うというのだ。私自身は、(個数+1)^2−1という式を考えていたために、それを提示した。

いずれにしても、なぜ最小回数を表す式がそのような式になるのか、よく分からない。そこで、さらに、左右が1個の場合から、動かす駒を記録することにした。(○、●はそれぞれ動かす駒の色を示す)

左右が1個の場合 ○●○
左右が2個の場合 ○●●○○●●○
左右が3個の場合 ○●●○○○●●●○○○●●○
左右が4個の場合 ○●●○○○●●●●○○○○●●●●○○○●●○

これを見て、気付くことをそれぞれ発表する。リズミカルになっていることは分かっていて、左右が5個の場合も十分予想できるのだが、リズミカルになっていることをうまく表現することがなかなかできない。そのうちに、同じ駒の続き具合に注目する発言があったので、上の表を数字に置き換えることになった。

左右が1個の場合 111
左右が2個の場合 12221
左右が3個の場合 1233321
左右が4個の場合 123444321
左右が5個の場合 12345554321

この表を見て、次の2通りの表現があった。

1,真ん中に個数と同じ数字が3つそろっていて、左右にそれより1ずつ小さい数字が順に並んでいく。

2、左右から1,2,3、・・・と個数までの数が並んで、真ん中にもう一つ個数の数がある。

どちらの見方もなかなかいい。特に2については、昨日のガウスの考えが使えるのだ。それを使うと、左右にn個がある場合は、(1+n)×n+n=n+n^2+n=2n+n^2となる。これを先に出た「個数×(個数+2)」という考え方に当てはめてみるとn×(n+2)=2n+n^2となり、一致することも分かった。

どうして、これが最小回数になるのかは、断念して終わったが、本日も楽しくおもしろ数学講座は終了。

残り時間は、2進法を使った誕生日当てクイズを紹介して、終わり。ここでも、黒板に掲示した5枚のカードに8人が集まって、ああじゃない、こうじゃないと黒板に図や表を書いて、分析する光景があり、この「おもしろ数学講座」を開いてみて良かったなあと子どもたちの活動から感じさせてもらえたのは収穫だった。

参加者の感想は「おもしろかった」という言葉に集約されるが、最後に教室を出るときの「先生、春休みもやって!」という声には特に感激し、自分自身も充実した2日間だった。


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