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授業の中でコンピュータを使うとひとことで言っても、実際にはいろいろなアプローチの方法がある。 ひとつは、コンピュータにどんな機能があるかを調べ、その機能が使えそうな学習分野を探すケース。 この方法で、ずいぶん数多くのソフトが作られてきた。 もうひとつのアプローチは、いままでの教材では説明がわかりにくかった場面を探し、そこをコンピュータでなんとかできないか、と考えるケースだ。 アニメーションの利用やシミュレーション教材、グラフを作成するツールなど、うまく教えるためにコンピュータを利用する試みが積み重ねられてきている。 しかし、「★をつかめ」は、どうもそれらとはおもむきが違う。 「うまく教える」ということと、どこか手触わりが違い、「教え込む」という枠を乗り越えている感触がする。 それを可能にしたのは、課題を解くために必要な情報やルールを、自分で見つけなければならない状況を、コンピュータで作ってあるからだ。 その状況下で、子どもたちは自由になれる。自分の力を発揮できる。 多種多様なアイデアが許され、多種多様なアイデアが引き出される。それが生徒たちの意欲的な取り組み、知的なときめきを生んでいるように見えた。 ![]() しかし、ゲームの楽しさは、複雑さや派手な見た目だけから生まれるわけではない。 ゲームの中で、自分がどれだけ自分の力をせいいっぱい発揮してぶつかれるか、それがひとを夢中にさせる。 外見の素朴さにもかかわらず、「★をつかめ」にはゲームの醍醐味のようなものがある。 この生徒たちが大人になって2進法を使うとき、あるいは2進法ということばを聞いたとき、ふと、3月の明るい午後の教室で星をつかもうとピョンとジャンプした「人」を思い出すかもしれない、そんな気がする授業だった。 | |
(田中啓子) |
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