二次方程式

指導のポイント
授業技術

p57

二次方程式の定義


導入題を使って二次方程式に触れた後、定義をきちんと押さえておきたい。
(例)
「移項して整理すると、xの二次式が0に等しいという形になる方程式」と口頭で言えるようにさせておきたい。
「解」、「二次方程式を解く」という用語についても同様である。特に「解く」というのは、解をすべて求めることを示していることを強調しておきたい。解を一つだけ求めるのは、解くことではない。


p59

二次方程式を平方根の意味にもとづいて解く

 

導入で二次式=0と定義しておきながら、最初に、ax^2=bという形の二次方程式を扱うことは、正直、いつも悩む。しかし、二次方程式全体の指導の流れを考えると、この形から入るのはやむを得ない。そこで、教科書の例題「ある数を2乗し、それを2倍すると50になりました」を「ある数を2乗し、それを2倍して、50を引いたら、0になりました」と変え、「2x^2−50=0」という式がとりあえず出やすいようにしたい。あらためて二次方程式であることを認識させたあと、x^2−25=0→x^2=25→x=±5という指導をしたい。基本的には、2x^2−50=0の段階で、全体を2でわって、式を簡単にする習慣をつけておくことが重要。

p60

(x+m)^2=nの解き方


上記の二次方程式の第2段階として、(x+m)^2=nの形が出てくるのはやむを得ない。ただし、解が整数となるのはあまり多くを取り上げる必要はない。二次方程式は、基本的にはかっこをはずして整理して、右辺を0にするのが常道で、因数分解の考え方でできるからである。解の公式が指導内容に入っていたときは、平方完成から公式を作りだすまでの指導が困難だったが、今は、ある意味、中途半端で終わってしまってしまうのが本当に残念である。

p62

二次方程式と因数分解


「今日は因数分解を使って二次方程式を解こう」などと無意味な入り方は避けたい。二次方程式の一般式とこれまで解いてきた二次方程式を比べさせて、「何か思うことはないか」と問いたい。問えるような教科経営をしておきたい。つまり、なんでも気軽に発言できる雰囲気を作りだしておくことだ。比較させれば、これまで解いてきた二次方程式はあまりにも特別な形をしていたことを指摘する生徒がいるだろう。その発言を受けて、「因数分解を使っても解くことができる」という展開に持っていきたい。因数分解の考え方は子どもから生み出すことは不可能。教師が示せばよい。もっとも予習で分かっている子どももいるかもしれない。いれば、その子どもに発言させればよい。


p62

x^2−5x+6=0
(x−2)(x−3)=0
x=2,3

 

「x−2とx−3はかけて0となるのだから、少なくとも一方は0でなければならない」
こういう大切な言葉は教師だけが言うのではなく、子どもが言えるようにすべきである。そうなる授業展開を考えたい。例えば、板書の式を見て、何度も言わせるようにしたり、ノートに1,2回は書かせたりしたい。特に「少なくとも」という言葉の意味に注目させるべき。逆に両方とも0となることは・・・と広げてやるといい。


p63

x^2−8x=0
x−8=0
x=8?


右のような誤答をする生徒がいる。両方の項にxが入っているので、xでわってしまう生徒である。x(x−8)との違いを十分に理解しておきたい。誤答がなければ、ではこうしたらなぜいけないのかと考えさせておきたい。

p64

練習題のレベル設定


いちいち式を書いて解くことも大切であるが、よく理解したというレベルは、基本題であれば、口頭で解けるくらいの力をつけることである、と生徒を鍛えたい。