15.4.2

池袋演芸場四月上席(四月二日)・夜の部報告。

まず驚くことは、自分も含めて何人かは昨日と同じ顔ぶれ(客がですよ)であること。しかも同じ席に陣取っている。彼等は顔見知りらしく挨拶しあっている。こんなんじゃぁ噺家も下手はできんなぁと思う。

■彦丸「一目上がり」
プロでは始めて聴く噺。

■喬四郎「松竹梅」

■さん光「黄金の大黒」

■馬遊「猫の皿」
この馬遊が上がった時点では、扇辰も文左衛門もまだ来ていないという微妙な立場。いわゆる道具屋ではなく「はた師」と呼ばれる道具屋崩れの説明が丁寧。

■扇辰「権兵衛狸」
山の手線が止まって入りが遅れるもなんとか間に合う。折り目正しい、前座さん用のテキストのような高座。この人の高座には不思議と前座噺しか出会わない。登場人物の多い噺も聴いてみたい。

■二楽・紙きり
扇辰の高座のきちんとした折り目を、ひとつひとつ伸ばすようなアットホームな喋りと紙きり。結構でした。

■文左衛門「のめる」
扇辰とちがって大雑把な折り方、でもきちんと折りたい物が折れているから不思議。相当の実力派とみる。中入時に自分の会のチケットを売って回るのも芸になっている。

■駿菊「欠伸指南」

■白鳥「時そば」
一見の価値あり。いわゆる古典落語の「時そば」の細かなギャグはほとんどなくなっているが、かわって白鳥流のギャグ満載。例えば割り箸のくだり。割ってある鉄の箸で、持つところに「南無妙法蓮華経」と彫ってある等。きちんとした人物描写を求めてはダメです。後半のそば屋がまだ蕎麦を打ってないというので、座ぶとんをそば粉に見立ててもんだり打ったりするのにはたまげた(高座返しが座ぶとんを交換するのでなぜかなと思ったらこんな仕掛けとは)。これ一席聴くだけでもわざわざ出かけた甲斐があったというもの。なまんだぶ、なまんだぶ。

■萬窓「佐々木政談」
へんなくすぐりのないこういう噺のほうが聴きやすい。

〈中入り休憩〉
■喬太郎「派出所ビーナス」
「三太楼」のめくりで登場。こんなにテンション高くていいのか?!パワー炸裂。ただこの噺は池袋演芸場向きの噺ですね。お囃子の入れ方も工夫があって楽しいし、元温泉旅館の女将の警官やギャル気分の抜けない警官などの描写も堪能できる。

■喬太郎「熱海土産温泉利書」
「たい平」のめくりで登場。御存じ円朝作の長篇。最初から人名がいくつも出てくるので、整理しながら聴くのはちょっと大変。ほとんど起伏もなく、ギャグもない噺で、こういう噺をファンはありがたがるかなぁ、ちょっと疑問。こういう落ち着いた噺というのは意外に演者は疲れないもの。三席のうち一つはこういう噺もないともたないか。わざと創作とは対極にあるような、誰もやらない古色蒼然とした噺を配置したのだとは思うが。

■喬太郎「ハワイの雪」
個人的事情(十時の「のぞみ」に間に合うか)で噺に集中できず。ちょっと短かめに刈り込んでくれたおかげで私は助かりました。


いゃぁ、2日間で喬太郎五席、白鳥二席。十分満腹。