15.4.1

池袋演芸場四月上席(四月一日)・夜の部報告。

昼の部の主任・小せんの「長屋の花見」から鑑賞開始。昼夜入れ替えなしなんですねぇ、驚いた。

中入後の1時間半を、たい平・喬太郎・三太楼の三人で勤めるというこの企画、休演しても代演は入れないと言うルール。二人なら二人で、一人なら一人で1時間半をもつ。昨年は中入後一人っきりという日はなかったそうだが今年はあるという、はたして何時なのか。

四時四十五分、夜の部開演。

■いち五「たぬき」

■小権太「つぼ算」

■さん光「桃太郎」

■馬遊「手紙無筆」

■扇辰「道具屋」
きちんとした本格的な芸です。おかみさんがあの「千と千尋の神隠し」の主題歌の作詞者・覚和歌子さんだとはついさっき知りました。

■二楽・紙切り
やや単調になりかけた雰囲気をほぐすような高座。客層がややマニア系なのを察してか、しゃべりもひねった内容。「ガラモンとピグモン」などといった注文にも器用に答える。

■文左衛門「道灌」
昨夜の打ち上げで飲み過ぎたとかで声の出が最悪。独特の間とテンポがかえって心地よい。しかしこの歳になって始めてプロの「道灌」を聴きました。

■駿菊「よかちょろ」
「ネタ帳を見ましたが、今日は前座勉強会ですか!?」とつかむ。語りは達者だが、人物の描きがやや表面的か。

■白鳥「ナースコール」
みどりという新米看護婦をめぐってのどたばただが、ギャグが奇抜で爆笑につぐ爆笑。

■萬窓「宮戸川」
きっちりした楷書の芸。声が高めで時として聴きづらい感じがあることと、ワンパターンになりがちな表情に工夫を。

この番組は、出演者がほとんど同期といってもいい噺家ばかりだが、とにかくそれぞれが良きにつけ悪しきにつけ個性的。4時間のうち色物一つであと全部落語というハードな番組にもかかわらず
決して飽きさせないのは立派。若手にチャンスを与えて、こういう企画を打つ池袋演芸場にも拍手を送りたい。ちなみに昼の部は理事クラスがたくさん出演。

〈中入り休憩〉
■喬太郎「諜報員メアリー」
挨拶代わりの一席。

■たい平「粗忽の釘」
仕事と仕事の間隙をぬっての出演。さすがに、あわてて勤めたなとわかる高座。ちょっと残念だが、十日間のうちにはこういう日もあるか。

■三太楼と喬太郎のうだうだ
時間稼ぎのような対談。八日は三人とも中入後は出ない旨、予告する。

■喬太郎「人妻販売員」
喬太郎らしい、人物の緻密な造型がきわだつ噺。例によってちらっと生活感をただよわせるあたりも秀逸。

■三太楼「寝床」
この人は最近落ちで遊ぶようになっているのだろうか。「反対車」しかり。この「寝床」も、「あそこが私の寝床でございます」といかにもサゲのように言ったあと、旦那が「それがどーした!!」と意表をつく。皆さん拍手モードになっていただけに大爆笑。確かに従来の落ちはあまりいい落ちとは思えないが、「これでも料理とか羊羹とか元手がかかっているんですよ」「義太夫だけにたけぇ元だ(竹本)」という落ちも改良の余地はあろう。

九時五分終演。