15.1.2




25年ぶりに訪れた大阪サンケイホールでの「米朝一門会」の報告です。
1300余りの席は満席。補助席も満席。
立ち見3000円も出るという大盛況。
さすが米朝一門会でした。

桂こごろう 「動物園」
初めて聴くギャグも多く、動物園も演者の工夫の余地がいっぱいある噺だと感心。

桂千朝 「桃太郎」
千朝らしいウルトラマンのまくらで、ひとまず安定した受けをとって快調な出足。
どうかするとこの噺は、嫌な子どもやなあという印象となるが、ほどよいブレンドで、後味もよい仕上げ。

桂すずめ 「悋気の独楽」
吉朝がまくらで「芝居だけやっとったらええのに。すぐに落語やりたがるからあかん。僕らの仕事が減るんです」と大受けしたが、受けるというのは、ある程度の賛同者があるということ。もっとも9人も出る会ゆえに、こういった色も必要と自分自身を納得させた。

桂吉朝 「七段目」
恐るべし吉朝。やはり今日一番の受け。
笑いのトーンも最高で、会場が波うった。今は見逃せない噺家。追っかけもあるはず。

桂小米 「猫の茶碗」
久しぶりに聞く。あっさりとした味付けで、吉朝、米朝に挟まれての出だからという心情を推測。

桂米朝 「けんげしゃ茶屋」
米朝健在。来年も、このサンケイの米朝落語から落語を聞き始めようかという気持ちになる。
米朝は衰えないのではないかと思わせるほどの元気さ。一言で世界を創り上げてしまう芸のすごさを堪能。

中入り

桂米八 「曲独楽」
何度も見ているが、しゃべりもほとんど同じで安定した芸と言ったらよいか。よく受けるが、笑いをとる基本がどの場合も、芸の成功率のネタで、途中でしらっとしてしまうのは私だけか。
もちろん、色物としては、一門の中で重要な存在。

桂雀三郎 「帰り俥」
初めて聴く噺。初めは言葉がはっきり聞き取れず、場面もよく分からずという状況だったが、いつのまにか噺に引き込まれていた。
とすると、初めは意図的なのか?、いや、これが雀三郎の味!と思われるほど、雀三郎の世界ができつつある。

桂南光 「南光の闘病日記」
トリネタを大いに楽しみにしていたが、最後に外された。
もちろん笑いも多く、「南光さん、おもしろかったねえ」という女性ファンは多いと思うし、いわるゆ漫談に満足して帰ったお客さんもたくさんいると思うが、私としてはなんとも残念な高座。最後にこれぞ南光落語を魅せてほしかった。
じゃあ、あんたは笑わなかったのかと言われれば、大笑いしたのは確か。客というのは勝手なもんだなあと実感。

<番外> 座布団返しは「吉坊」。いつか彼はこのサンケイで独演会をやるはず。
      それまでは生きていたい!

<パンフレットミス>
桂雀三郎が「桂雀三郎桂」と最後に桂が余分についてしまっていた。したがって、桂南光が「南光」という桂なしのミス。
南光は米朝のところの間違いなら印刷し直したはず、とぼやく。自分で「みなみ ひかるです」と紹介し、笑いをひときわとる。