図解仕事人 久恒啓一  

ビジネスマンの一日は、電話、口頭、書類、会議、接待など、すべてコミュニケーションに費やしているといっても過言ではありません。これらの仕事をこなしていくためには、ビジネスマンはコミュニケーションの達人であることが求められます。それは他の人の意見や提案、会議や仕事上必要な資料などをよく理解する(理解力)、自分の頭の中からアイデアを引き出す(企画力)、そして相手に自分の考えていることを上手に表現し伝える(伝達力)、こういうコミュニケーション能力を人一倍もっていなければならない、ということです。

グループによる企画と実践
「いいテーマ」「しっかりした構想」「適切な方法」「情報の共有」「不屈の精神」

フロー情報を浴び続ける
情報には、私たちのまわりを流れている情報と、その中から選びだし蓄積された情報の二つがあります。前者を「フロー情報」、後者を「ストック情報」と名付けてみましょう。仕事をしていく上で、ストック情報を増やし、質を高める努力が大事なことはいうまでもありません。もう一方で、常に優れた判断をする上司を観察してみると、そういう人は例外なくフロー情報」を多量に浴び続ける努力をしていることがわかります。

社内を動き回りながら情報の仕入れを怠らない人、社外の人たちと常に情報交換しながら仕事の成果を高めている人、こういう人たちは名選手と同じように、社会の動きをつかむ情報の動体視力が磨かれています。

一つのポストにいる間に一つのテーマを発掘し、仕事を充実させていくということです。まさに仕事は問題解決の最前線ですから、創造的に実行することができれば、これにまさる修業はないといってもいいくらいです。

「運命の女神に後ろ髪はない」という諺も浮かびました。この諺は、通り過ぎた後で運命の女神の髪を掴もうとしても、女神に後ろ髪はないので掴めない、運命の女神はその場で掴まえなければならないという意味です。

図解コミュニケーションの効用
・ ごまかしが利かない
・ 情報整理がすっきりする
・ 全体がひと目で分かる
・ 説得を匂わせない
・ 参加意識を高める
・ 情報量が多い

○と→ですべてを表現できる

従来のように文章で企画や構想を練り上げていくことは、自分自身の納得はもちろん、他人への説得という点も難しいところがあります。途中で必ず、細かい字句の意味に関して議論になり、そうこうするうちに時間の経過とともに手垢がついてくるなどして、つぶれてしまうケースが多いのです。
ひと目で全体がわかる、部分同士の関係が把握できることなどを特徴とする図解は、企画力や構想力を養成するのに力を発揮します。企画や構想は、言葉で必要十分な説明をするには困難が伴います。けれども図解であれば、大きな部分しか目に入りませんから本質的な議論になるのです。企画・構想とは、実は図解そのもののことと理解した方がよさそうです。