小牧市現職教育 幼年期教育について  講演 名古屋芸術大学 小笠原圭氏  2002.8.2

■日本の教育の変革
一斉に効率よく一定の基準をもって、一定の価値観
かなりの模索がされたが定着していない。
平成になって大きな教育の変革(中教審)

■教育改革の話で重要な話3点
・個性重視の原則 個性を生かしあえる集団であることだと理解する。
・生涯学習体系の移行 学び続けること 学びの連続
・変化への対応

■昨今は人間研究が必要である。

■幼児教育
その子のもっている良さを出させ延ばす
*エリクソンの発達理論
人間の人格はどうやってつくられていくのか。
人間のうちから出てくるメカニズムを生かして教育をする。
人間の早期早産の理由は、人間は複雑ばネットを作るからである。
<例> 赤ちゃんは泣く。周りの人はどうしてか考える。
赤ちゃんは信頼と不信のシーソーに乗っている。
赤ちゃんの願いの通りにしてやると、人間は願えば叶えられるのだ、ということを赤ちゃんは得る。
こうして人間は成長していくのだ。

■4,5歳の頃。年中年長となると、こうするとこうなるという理解ができる。
自己発揮と抑制(アクセスとブレーキ)がある。
目的感を持つ子ども。
この時期に目的感を大いに発揮させてやらなければならない。

■悪行をやってこそ、人間として成長する。
悪いこと一つできないで育つとだめだ。
アクセルやブレーキを働かせることだ。
そうすると、目的感を持つ。

■幼児教育とは、幼稚園と保育所がある。
幼稚園は学校教育のスタート。保育所は家庭で子どもを育てられない人の援助だったが、幼児教育に関する内容については幼稚園と保育所で行うように変化。

■幼稚園教育要領と保育所保育指針の違い。
教科はなく、領域がある。
心情と意欲と態度を育てるところ。→極論すれば、知識や技術を育てるところが小中学校である。
<5領域ある>
土台は健康=心の安定
環境=子どもを取り巻く状況、かかわる力を育てたい
     人間関係がこの領域の中にある。
表現=感性=あらわす力
     言葉がこの領域の中にある。

■何をどうするとこういった力をつけることができるのか?
指導=保育者の援助(例 なかなかくっつかないね。どうしたらいいんだろうね。あくまで子どものかかわる力やあらわす力を援助すること)
環境の構成(先生の意図性が必要。こどもがかかわる力が発揮できる仕組みに作っておく)

■小学校教育と幼児教育の違い
1教科中心で系統的な学び→生活重視、経験的
2形式的に整っている→形式的ではない
3一定の単位時間がある→チャイムがなく一日が単位(プログラムをするのは先生と子ども)
4全員共通な教材で共通な場でそろって学習活動→個の活動が基盤(個、班、クラス)
5目標設定がある。到達度を示す→ねらいは先生自身が持つが全員にこれだというものを設定しない。到達度の代わりに方向性を示す。
この違いは、人間の発達を考えたときに幼児教育の在り方がある。

■連携とは、幼稚園や小学校、中学校でやっていること、育てていることを知って、それまでに培ってきた力をさらにアップすることが必要。
相手のいいところを見合うことが大切。連携がうまくいくことは、こどもにとっていいこと。
子どもが育つ無駄にならない4箇条。
1 お互いに収穫があること。相手のためだけにやっていると思うと腹がたつ。どん欲な欲望を持つことが大切。
2 継続性。細々でいいので、何かつながっていくこと。
3 楽しいネーミングを考えた行事を行う。ネーミングに本質を含める。
4 ストーリー性があることをやる。

★ きょうきてよかったねというビデオ視聴(文部科学賞制作)

■質問
幼児教育はハードルを越す力を育てることにある。
小学校では幼児教育で自由にやらせるからダメだというが、けっしてそんなことはない。
小学校では、工夫をしてほしい。ただ単にやらせるだけではダメだ。

家庭が崩壊していると言うが、どれほどの数があるというのだ。昔と今と変わらないはず。
いろいろな家庭があってそれを背負っていると理解して教師は取り組むべき。