伝わる・揺さぶる!文章を書く 山田ズーニー PHP新書

アルバイトで受験生の個人指導をしていますが、彼らが、自主的に、”考える”ことを放棄して、その結果、苦しんでいるように見えてしかたがありません。学習のみにとどまらず、自己発見や進路についても。苦しんでいることを自覚していれば、まだ良いと思います。”なんとなく”で生きている子たちこそ、いま受けている傷は深いのでは、と胸を痛めています。

文章の「ゴール」、つまり、その文章は、最終的にだれに読まれ、どうなることを目指すのか、に着目すると、驚くほど、いろいろなことが見えてきた。

「論点」という発想は、日本人には、なかなか馴染みにくいものだ。会話や文章でも論点は省略されることが多く、自分の意見は意識しても、その裏にどんな問題意識を持ったかは、なかなか意識しないものだ。だから、「論点」という発想を身につけると、文章を書くとき、抜群の効果を発揮してくれる。論点を制する者は文章を制すると、私は思っている。

書いた文章の、論点と意見が呼応しているかどうかを確認することだ。つまり、自分が採り上げた「問い」に対し、自分の結論を打ち出せているかどうかをチェックするのだ。

根本思想に着目すれば、膨大な文章でも、ごく短く言える。なぜなら、膨大な文章も、すべて、書き手の根本にある想いから湧き出たものであるからである。根本思想は、いわば、文章の製造の泉。製造元を押さえるというのは、結局とても効率がよいやり方だ。

あなたと、相手と、組織と、顧客、それらの関係の中で、今、依頼をしている「私」は何者か?というあなたの立場を発見してほしい。

議事録を書くいちばんのポイントは、議題を「問い」の形にして頭に大きくはっきり書く。


議題 区民祭りのねらいは?参加者にどういう価値を提供するのか?

日時・場所 出席者

前回までの流れ

本日の会議の位置付け・流れ

議事の要点

本日の決定事項

今後の課題

次回の予定


いい発言をおもむろに書き付けるだけなら、議事録は時間の無駄、やめた方がいい。発想を変えよう。出席者が「何を」話しているのではなく、「何について」話しているか?発言の裏にある、「問い」つまり論点に注目して聞き、メモをとるのだ。

議題を問いの形にして、はっきりさせれば、あとは、議事録は書ける。まず、問いに対して、どんな「答え」を出したか?これが、その会議での「決定事項」だ。ラストに書けばいい。「問い」と「答え」の間には、その問いをどんな手順・方法で検討したか?(会議の流れ)、その問いに答えを出す上で、何を大事にしたか?(議事の要点)を、優先順位を決めて、大きなものから3つ程度書けばいい。細かなことはいらない。優先順位をつけるのが仕事だ。

「リーダーの仕事は、決めるところで決めて、謝るとこで謝る。」企業にいたころ、異動する同僚が残していった言葉だ。

謝罪の7段階
1 謝罪 2 相手側から見る 3 罪を積極的に認める 4 原因を究明する 5 対策を立てる 6 償いをする 7 再度、謝罪

お詫びの要件3つ
反省、謝罪、償い

電話やファクシミリ以上に、相手がそのメールをどう処理したらいいのかを伝えることが、マナーとしても特に重要になってくる。

あなたの書く文章の読み手をこのような「おいてきぼり」にしないために、「2歩前提に引いてみること」を提案したい。自分の書いたものを、人が見たらどうか、おかしくないだろうか、と1歩引いた視点でチェックするのは、だれもがやっている普通の推敲だ。ここではそこに留まらず、さらにもう1歩引いて、自分があたりまえと思っていることをわからない人もいるのでは?と想像してみることが肝心である。

読む気を引き出す文章の書き方
相手のモチベーションを引き出せるか、引き出せないかは、文章の書き出しにかかっていることが多い。文章を書くとき、「読み手から見たら、これを読む動機は何だろう?」と考えてみよう。はっきりした動議があれば、文章の冒頭に書く。