算数・数学のベストな授業を求めて 愛知教育大学 志水廣
2001.11.7 愛知県算数・数学教育研究大会での講演
1.授業の中に真理あり
○授業とは.教師と子どもが教材を通じて「問いの発生から解決までを」共に苦しみ・共に創ることである
○授業の中に教師の数学観・授業観が現れる
2.ベストな撞業とはどんなものか
(1)「問いの発生」
・そのためには、場の設定
・既習事項と未習事項の接点を出会わせる
く2)「問いの解決」がある授業
・具体的な支援の用意
(3)全員が「わかる」授業
・メタ認知から言うと @定義と具体例を持つ
A方法がわかる
B理由がわかる
C間違うと、なぜ間違ったのかがわかる
D他の人に説明できるか→復唱法に通じる
・ああ、そういうことか」という言葉がもれてくるか
・自力解決をできるだけめざす!
※時間をかければ全員を自力解決可能である
しかし,45分,50分という限られた時間で自力解決させるためには,
もの解決状況によって,指導を変更することである
臨機応変な処置が大切→そのためには,○つけ法が有効
・子どものスモールステップを保障するためにも○つけ法が有効
問いの発生と解決は、・言葉 ・式 ・動作 ・図 ・ 表情に現れる
く4)全員が「できる」授業
@メタ認知から 市川さんは「量より質だといいたいけれど・・・」
A指導要領では「繰り返し学習」が大事
B現行のカリキュラムでは完全に「できる」ところまで保障されていない
C全員が最低限できる支援の手だてがあること
D○つけ法が有効
(5)既習と子どもが響き会う授業
・Catch &Response能力の開発
(6)算数・数学のよさの2段階論
ステップ1:わかる・できることの保障→自信につながる
※解決の中に理由と方法がある。
ステップ2 :簡潔・明瞭・一般・統合・発展
・ステップ2を急いではならない。だから,新指導要領では,「よさがわかる」から「よさ気づき」に変化したと思われる
3.撲業にはレベルがある
レへル0 最低限,「分かる説明」が必要である。きちんと「わけ」の分かる説明をする
レベル1 「分かる」説明の次のレベルは子どもに考えざせて自ら考えて「ああ,分かった」と言える瞬間のある授業
レベル2 この分かったことを教師に認めてもらう瞬間のある授業
レベル3 さらに,発表して子ども達の前で認めてもらう瞬間のある授業
レベル4 子どもの発想や発見の中に素晴らしいものがある授業
レベル5 その素晴らしい発想に気づくことができた教師自身も自分を認めることができた授業
レベル6 子どもたちが友達の発見・発想のよさに気づくことができた授業
どのレベルでも授業の楽しさは存在する。しかし,満足度はレベルが高い方が高い
さて,あなたは,昨日の授業で,子どもの発想から学んだことがありますか?
これが言える授業が理想の授業である
打率は3割でいい。小学校では週に2臥 中学校では過に1回,
教師も子どもも「なるはど!」と言える発想があるかどうか
しかも,それは,教科書にあるような平凡な教材でもあるものである。トピック教材だけでは ない。
また、できる子どもだけの発見ではない。どのレベルの子どもでもありうるものである
4 結局.ベストな授業とは
・教師も子どもも 安心感のある授業
ワクワクする授業
未知の数理への探究がある授業
・授業のうまい人を見ること
5 授業力について
授業力=†(教材把握力)×(子ども把握力)×(指導技術力)) ×(精神エネ九ギー)
・全てはこの公式から始まる
・得意なところから伸ばせ
6 マクロな問題
(1)新教育課程のスムーズな実施⇒学校5日制の初めての試み
文部科学省の来年(14年)度の方針
@バランスのとれた学力 A豊かな心
(2)基礎学力アップのために,
文部科学省の政策
@内容の厳選⇒指導要領最低基準説,ゆとりの時間はあるはずだという見解
A少人数学習のすすめ
B絶対評価への転換 教科書の内容ができて評価はB(おおむね満足する)
C発展学習のすすめ l
D学力テストの実施:風雲急をつげる。平成13年1月実施
当面はここが勝負,この結果によって教育政策が変わる
E中学校での選択学習の幅を広げた
(3)現場での対応策
@本当に「わかる・できる」ことをめざす→問い続ける力
A時間割の変更 帯学習のすすめ
B歩留りをあげるしかない。これが絶対評価とリンクする
C一斉指導の技術も向上させる
D小学校では学年間の合意が必乳 中学校ではプロとしての授業力の向上
子どもが,もっ とやろうよ!といえる算数・数学の創造をお願い致 します