2003年3月21日(金) 名古屋・伏見にて

第1部 実践発表・職員室のIT活用で教育が変わった!

 

大西
今日は学校の元気さをぜひ皆さんに盗んでもらって,皆さんの学校が元気になってもらえればと思います。

校長先生
こんにちは。ご紹介いただいた校長の野々部と言います。本校のこれまでの取り組みを発表,お知らせできる機会をいただきありがとうございます。これから教頭と校務主任がこれまでの取り組みと,これからの取り組みを紹介します。小牧中だからできた,のではなくて,小牧中でも出来るからほかの学校でも出来るという感じで聞いていただければと思います。

大西
講師紹介です。教頭先生の玉置先生です。教務主任の神戸先生です。第一部は実践編ということで,ITの活用で学校変わりましたよ,というところ。

玉置
ITによって学校がどう変わったか。いろんな機能を使っていますが,機能によって職員室がどう変わったか。どうしてこんな機能が欲しくなったかをポイントにお話したい。みていただくとわかりますが,これが小牧中の朝職員が来ると手元のノートPCでみる画面。これをみるとその日のイベントが全部分かるようになっている。このように連絡を,どの先生からも手元のノートPCでみられる。しかも,日にち指定もあって,3月27日〜31日で,とできる。誰が入力したかも分かるので,詳しく知りたければその先生に確かめればいい。

玉置
日課表。教務主任がいつも入れている。今日,誰がどこへ出張するか。公立高校の合否結果で,誰が,どこに,何時に行くか。提出文書。今日までに何を出さなければいけないか。多目的ホールの予約表を手元で入力しておくと,バッティングしないようになっている。これをみると,その日一日のおおざっぱに連絡から,活動から,何から分かるようになっている。

たとえばこの掲示板。文章で読んでさわる連絡は朝の打ち合わせでは言わないという約束。ただ,思いを入れて連絡したいことは声で。生で伝えましょうとやっている。こういう機能があると朝の打ち合わせが大変短くすむ。うっかりとか,忙しくてということがない。短くなって,我々はどうしようか考えた。早く教室に行って子供たちとコミュニケーションを取ろうか,と。でも,それをやめて,職員間のコミュニケーションにあてた。道徳主任が,「道徳の基本として,子供たちにきちっと話ができれば授業がうまくできる」と。朝の打ち合わせに1分間スピーチというのを入れている。職員が毎朝何か話すことになっている。とりあえずやってみようや,とやってみた。ところがこれがおもしろい。44人の職員が居るので,普段はコミュニケーションとれない。難しい話はしません。約束で,おもしろい話はみんな共有しよう,と。クイズシリーズをやる人がいる。おもしろかったら,そのネタを使って教室で話をしていい。朝の連絡会で,事務連絡しかできない先生がいる。それだと子供と教師のつながりができない。工夫が生まれてくる。明るくて元気のいい学校です。

おもしろいのは通風の悩みの先生。「私の闘病日記」みたいな話をする。すると,「あんまりムリをいえないな」となる。それを聞いていた担任が子供たちに言ったんでしょ「丸丸先生は通風らしい」と「通風って何?」「膝さわると痛いらしい」と。そしたら,子供たちが「先生通風どう?」と。そこで話題が生まれる。

生まれた時間をコミュニケーションに使っている。

出張もデータが入っている。ここから出張申請書ができる。ボタンをクリックしていくと,あらためて入力しなくても,愛知県の標準の書式で出てくる。ですから,今日誰が休んでいるかも分かる。私の学校は職員室の黒板には何も書いてありません。手元で分かる情報を黒板にあらためて書いても意味がない。校長先生が2ヶ月に1回目標を出してもらう。豊かな言葉を掲示している。こんなところでITを使うとうまくいく。ところが全部うまくいっているように思うかもしれませんが,日課表は教務主任が毎日入れている。誰もみていない。みる必要がない。教務主任はもっと丁寧な週報を紙で出している。はっきり言って誰もみていないと思う。なぜなら入っていなくても文句がでない。

神戸
誰もみないデータを一生懸命入力してる者です。2日間学校休みですよね。月曜日に行って気が重いのはこれを入力すること。あるから入れるんですね。誰もみないのに。誰もみていないのが分かるのは,入れていないのに誰も文句を言わないときです。

玉置
視察に来られた方は感心するんですけどね。

神戸
各職員室の中でいろんなシステムを活用するときに考えていくといい。うちの学校,ソフトの中にいろんな機能があって使われないものもある。よく使われるのは出席簿。うちの学校ですと,ほとんんどの先生が朝は校門にでている。職員室には人があまりいない。生徒は700人で,今日誰が休む,というのがひっきりなしにくる。今まではこれを紙でやっていた。担任の机の上に置いて,電話とって,と。

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登録実演。休んだ人の名前,クラス,担任は登校指導が終わってから帰ってくると分かる。備考欄にもメモを入れることができる。

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出席簿がなぜ皆さんによく使われるか。朝一瞬のうちに入力したデータが出席簿に反映される。このように全データが出てきて出席簿が可能になる。年間を通して全部の集計がでる。学校だと1年間のまとめとして,要録や通知票に書ける。これが非常に活用しやすいデータ。非常に人気のある部分。1ヶ月たつと,印刷ボタンをおせば出てくるので,担任がハンコおして,主任がハンコ押してと…。

我々としては,どの子が調子が悪いとかが分かる。長期の休みの子は分かるが,短期の子はわかりにくい。朝の一瞬のデータが活用できる。

日課表は入れてみるだけで,活用されない。一度入力したデータはとことん使うのが本校の方針。データを元に二次利用,三次利用していく。

通知票も入れて終わりではない。この日課表を使わないといけないような状況。先生方の学習計画に使えないかな,と。ここから各教科担任に「何年何組で授業する」というのが分かるようにする。そこから授業の記録が,授業のためのデータベースになっていくきっかけにならないかな,と。

玉置
なんだか管理職みたいになってきましたね。

神戸
これが今月中に出来てくるかな,と。このようにとことん使うデータが生きてくる。とことん生きるデータとして出席簿,通知票。通知票ですが,成績を学年末だからどこも入れていると思う。ここにシートがあるんですが,ここを押しますと,各教科担任が入っているところが出てくる。ここからデータを入れていく。教科担任制をとっていると,教科の担当の先生が評定を入れる。今ですと絶対評価でA,B,C。そういった種類で入れていく。ネットワークを使わないと,教科担当者がつけたものを担任が一覧表に転記する。転記したものをもう一度通知票に転記する。転記されるたびに,教務主任は点検する。700人9教科と。すごい数のものを点検しなきゃいけない。そういう仕事が待っていると思うと大変。点検してるのは各先生の転記ミスを点検してるだけ。ところがうちはネットワークでやっている。転記のミスがないかを教科の先生が点検。私は点検しません。私が点検するのは「本当にこの評価でいいのかな?」と,確かめる。絶対評価としてふさわしいかどうか点検して,もう1度教科の先生に返せる。そうすると「あ,間違ってました」という先生もいれば,「いいえ,それでいいんです」という先生もいる。転記ではなくて,中身をみることができます。

入れたデータをどう使うか。

ネットワークだからこそ出来た内容かなと思ってます。ある分楽をしていますし,1学期より,2学期のほうが矛盾があるなという評価が多くなった。3学期になるとかなり落ち着いてきたなというのを感想としてもっている。それは中身の話が出来たから,と思っている。これから通知票に転記するので通知票での間違いはない。

本校の通知票のサンプルです。評価の観点は学期ごとに違う。それに対してA,B,Cの絶対評価。総合での取り組みを通知票にのせられる。総合は我々に分かっても,親御さんには分からない。何をやるか分からないので,できるだけ情報をたくさん提供できたらな,ということでカラーでうつしてその内容をうつしている。現実は1年生は統一のものでやっています。実際に学習する内容として出てくるものは個人ごとに違う。それまで一緒にするのはおかしいということで,担当教師の所見が入ってきます。ここが評価になる。これも担任が受け持てばいいんですが,すべて担任が受け持つことはない。6クラスを14,5人の教員でやっている。どうやって評価するといえば,担任に渡して転記してもらうというのがあるが,それも大変。今はネットワークを使って評価を入れていける。ネットワークを使って,担当者が担当した子の所見を書いている。これがなかったらものすごく大変な作業が待っている。今現在そんなシステムが稼働しています。

この内容を複雑化してきているのが,こちら「いいとこみつけ」というもの。全職員が全生徒を観察…というか,いいところを発見して記録をとる。ふつうですと学期末に所見を書く。学期の終わりにこれを書けというのは大変な作業になるし,忘れてしまう。気づいたときに,気づいた場面で書き込める。これを入れるのはどの教員でもいい。中はだいたい清掃の時間よくやっていたとか,給食当番のこととか,授業中にいい発言があった,とか。それで,いいところはその場でほめつつ,記録としてシートに残していく。それによってうちでの話題が増えていくんじゃないかと思っています。

絶対評価のときに,個人内でどうのびていくかがみとれる。学期の中でのびていくものがある。計算ミスを点検するとかね。だけど,目標まで来ていないと絶対評価ではCになったりする。そういうのを,先生がみとっていけば,絶対評価が深くなる。

個人カルテ。病院でいう病歴と同じようにして,ひとりの子供に対してどんなデータがあるか。デジタルですと,1年前のデータもみられる。学校でいうと指導要録。でも,これの方が細かなデータが残るだろうし,新しく担任になったとき金庫から学校要録を取り出してみますかね?これが手元でみられるということになるとかなりの利用度が高い。これも現在出来たばかりで,先生方もあまりみていない。だけど,来年新しく担任もったときに役に立つんじゃないかな,と。

先生方忙しいので,所見の出し忘れがある。そのときも,私はこっそり所見を読むことができる。一番大きいのは,若い先生がみて「所見って何を書くのかな?所見ってどういうところに力点を置いて書くのかな?」というのが分かる。いい教材だと思う。

いわゆるコミュニケーションをデジタルを使って増していこう,と。本校は職員会議も短い。職員連絡会議ではなくて,職員会議なんです。どうしたら話し合いが活性するか。ここでやっているのは年度末反省。たとえば,私が若いときやったのはとりあえず書いて,職員会議やって,来年変わっていない,みたいな。学校現場非常に忙しくて話し合う機会がない。そこを打破できないのかということでIT。本校はまず始めに,教頭が校長の意を受けて,1月の最初に来年度の教育構想を出すことにしている。クラス配置から提案していく。このときは82項目の提案した。それを職員は読んで,ネット上に掲示板があって,その番号に対して意見が入れられるようになっている。提言に対して意見を掲示板で書けるようになっている。「反対」とか「賛成」とかね。とにかく自分の主張を入れられる。提言に対して会議の前にネットに入れることで,コミュニケーションを先にやっておこうということなんですね。会議に行く前にかなり意識が高まっている状態。だいたい,職員が40数人いるので,毎年400くらいの意見が出る。それをこうやって番号でならべて整理する。「提言に対して賛成が多いなら論議なしで通す」「反対が多ければ論議なしで通さない」と。賛成と反対が半々の場合は職員会で論議する。本校は転任されると,その論議の結果を印刷して渡す。これが職員間のコミュニケーションでやっている。これもネットワークだからこそできる。


第2部 パネルディスカッション・職員室のIT活用,どこからどう始めるか

 

大西
時間になりましてのでパネルディスカッション。職員室のIT活用どこからどう始まるか。左端の方,コーディネーターをお願いした静岡大学助教授の堀田龍也先生。玉置先生,神戸先生です。小牧中の山口先生。通知票担当の渋田先生です。ここから先コーディネートは堀田先生にお任せします。

堀田
今日は一番最初に小牧中学校のどういう活動をやっているかをいきなりプレゼンテーションしていただきました。校内ネットワークがうまく動いて,学校の体制がついてくるようになるとだいたいこんなことができるようなるというのをおみせして,課題や発展を話しあいたいという趣旨です。2部では,職員室のIT活用で,小牧中の例を僕の方から聞き出しながら,皆さんが今日帰ってすぐではないけれど,2年ぐらいしたら校内ネットが入ってくるわけで,そのときに向けて今からできることが見えてくると成果があるなと思います。3部で懇談会があるので,このフロアを使ってお酒…じゃなくてお茶ですね。お茶のみながらみんなで聞きたいこと聞いて,としたいと思う。時間短いので,全体像を僕の方からお話したいと思う。

教育の情報化においては2005年がキーワードになる。2005年を目標にして国としてはこういう整備を進めている。すべての教室にコンピュータがいき,高速インターネットがきて,プロジェクタが来る。先生は理科や数学の授業がわかりやすいようにITを活用する。それぞれの先生の個性を生かしたもの,チームワークでの授業が出てくる。公立学校では情報公開や説明責任,外部評価が今の社会の流れの中で出てきている。こういう潮流の中で考えていかなければならない。みなさんの仕事が楽になるのと同時に,授業について考える,情報を外部にむけて発信していく,というのが大事になっていく。文部科学省の情報化に対応した教育の三本柱。

情報教育
学習指導における情報手段の活用

この2つは予算もかけられ華々しく行ってこられた。

校務の情報化

それに対して校務の情報化はどちらかというとスポットがあてられていない。中学校では非常にITが使われている。セキュリティ等が保たれる時代になってきて,教師として,学校として,説明責任をどうしていくか。校務の効率化をし,教師の力量を高めていく。

最新の動向でいうと,こういう名前の委員会が動いています。主なターゲットは,2005年にさっきのような教室になるには2004年までに校内ネットワークを整備するための予算が各教育委員会におりている。教育担当の指導主事はITに詳しいとは限りません。校内の中心の先生にむけて,こういうふうに校内ネットワーク使えばいいですよ,というのをたくさん例示する報告書をつくっている。文部科学省に「丸丸が望ましい」というのは,そうしてください,という意味。そこに先進的な9事例があがる。その中に小牧中の例が出る。ある意味先進的な事例をみせましたので,ここから皆さんがこうなるという意味で未来の姿を本音のところで聞き出して,私たちが今すぐやっていけることを考えていこうというのがこのパネルの趣旨。

堀田
まず最初に渋田先生。渋田先生は一担任として通知票に責任をもちながらこのシステムを使われていると思う。教頭先生や教務主任はいいぞ,いいぞ,というけど,本当はどうよ?席はずしてもらったほうがいいかな?まず渋田先生から。

渋田
ちょっと言いにくい位置にいますが,先日ちょうど通知票をつくる作業をした。打ち出すだけ,あとはファイリングするだけ。ファイリングも学年の先生と一緒に袋をあけて入れるだけ。従来の通知票のつくりとは違ってものの1時間で終了。そういう意味では楽になった。だけども,

堀田
だけども?

渋田
普段の学校生活の中で,いいとこみつけとか,あの辺の作業については授業が終わって入れやすいことは入れやすい。私は国語ですので,子供に発問して返ってくるとうれしいときがある。それをメモするのは楽しい。だけども,うれしい答えが返ってこないような授業をしていると,書けない。悪い授業をしているとなかなかそういった答えも出てこない。そういった意味では難しい面もある。

堀田
小牧中にはすばらしい授業をしている先生しかいないと思うけど,自分の中でいい答えが出てこなかったので,手応えがない,と。最後に一夜漬けみたいにやるのと,日々やっていくのとどう違うか。日頃からやっていく良さってのは何かあります?

渋田
タイムリーな話題をそのまま子供に伝える,親に伝えることができる。けっこう忘れてるんですが,先生たちが「あの先生も自分をみていてくれた」と。子供もみてうれしいだろうし,そういったところで先生との関係もよくなるところもあるんじゃないか,と。

堀田
記録が蓄積されていることで振り返るときに便利。日々の記録が残っていく。大西さん小牧にずっと入っていると思いますが,先生たちが日頃から子供をみているいい効果ってあります?

大西
いいとこみつけってキツイよねって話をした。いいとこみつける姿勢がないとできない。どうしても悪い方で目立つ子や,勉強で目立つ子に目がいく。日頃スポットがあたらないところに目がいく。先生たちが子供をみる目が変わったのね。

堀田
そういう意味では悪いところみつけもできるわけですよね。なんでいいとこ?両方入れるとかいう手もあったと思うけど。

教頭
入れながらこういっている担任。「これはAくんにはいいけど,Bくんにとっては当たり前だよね」と。たとえばあいさつとか。個人内でよくなっていくところを看取っていける。

大西
小牧中明るいんですよ。やっぱり元気な学校で,いいとこみつけて,いいとこをみつけようとしていく。ここよくなったなぁ,というのをみつけるとかわいくなる。

堀田
渋田先生もうちょっと聞きたいんだけど,担任は楽になった,と。子供からみるとどうなのか。普段に何か違いが出ている?子供からみた評判。

渋田
問題児の話が出ましたけど,そういう連中が人がかわったように「先生いす片づけようか」とかいうときあるでしょ。そういう奴に限って異様に目立つ。私たちも印象に残るし感動する。それを入れた。そうすると,そいつの親から年賀状がきました。親に喜んでみせられる通知票になった。

堀田
保護者からの反応ってあります?

教頭
ひとつは,これだけの情報がでているので,子供とコミュニケーションを取るいい機会。基本的に先生がよくみとってくれる。寂しい例がありまして,生徒が「教頭先生」と呼ぶ。いいとこみつけには玉置ってかくから,子供が「これ誰だ?」となる。後で親からお願いで「頼むからいいとこみつけの数をみんな一緒にしてほしい」と。いいとこみつけは子供同士でお互いにみせて「僕は5つ」「僕は2つ!」とかなる。数じゃないんだけどね。1件電話があって「頼むからいいとこみつけの数をそろえてほしい」とあった。

堀田
それぞれに評価される軸があるってのがね。保護者の反応がありましたが,2つ目の話題にいきます。通知票をああして渡すほかに,普段から学校でホームページを使って保護者向けに発信していると思う。山口先生。ホームページについてご説明お願いします。

山口
学校を開こう,と言われますが,本校ではありのままの姿をいのままにしてみていただける環境を作ろうじゃないかということで発信している。そこにはご父兄からのご要望でかえていたところもある。

堀田
何か売りになるところを…。

山口
給食というのは人気があります。お昼に食べて15分ほどでこれが出来ます。私が職員室で食べて写しています。

堀田
感想みたいなのを入れてるんですね。

山口
コメントで苦労しますが,13時にはできて発信している。ご家庭には「あ,こんなのがでている」となって,ご家庭でも活用。

堀田
給食室のスタッフの人からクレームとか取材とかはありますか?

山口
給食をきちっとやって,給食センターの人たちは「小牧中はこんなにも給食を大事にしてくれている」と感心してくれる。

堀田
山口先生毎日この仕事してるのは負担だと思うんですが,校務文書がこの給食?先生はホームページの担当,と。ホームページのメインコンテンツが給食,と。お母さんからみると役に立ってる,と。話題なんですかね?

山口
だと思います。

教頭
マキネット・モニター会議というのを開いている。学期に1回ずつ,親御さんにみてもらっています。あーだ,こーだ,と。

堀田
それも一方的に情報発信ではなくて声を聞こうという姿勢ですね。ほかにもあれば?

山口
学級日誌というのがある。我々教員だけではなくて,子供たちも。ふつうは紙の学級日誌に書いてというのがふつう。それをインターネットに書き込んで,どのクラスからも,どのオウチからも,世界へ自分の書いた日誌が発信されます。

堀田
これどうやって入力してるんですか?

山口
これは校内マキネットというのから,教室のパソコンから。

堀田
教室で書くと校外のホームページに反映される,と。

神戸
第1回目は3時半に更新されて,第2回目がもう少し後。第2回目を出すまでに校長と教頭が点検しています。

堀田
山口先生が気を遣うと思うんですが,不適切なこととか…。

山口
特定の名前や,出してはいけないことがないか気を遣います。

堀田
子供の立場からすると,自分の書いたことが伝わると考えると保護者の目を気にしたりしますか?

山口
気にするようになっています。ほとんどの子は一般の人に発信していることを分かっている。

堀田
これはクラスごとにみているわけですよね。日直は交代で入れていくんだと思いますが,クラスにとってもいい記録になりますね。子供の評判はどうですか?

山口
学級文集を使っている。それにこれを全部印刷してはさむ,というと日々のすごし方が思い出せて,どのクラスもこれを使ってやっているところです。

堀田
これも毎日毎日ちょっとしたことだけど,記録が蓄積されてあとで振り替えれる。これ保護者はみていますか?

山口
保護者の方から「ちょっとここはどうですか?」という反応があったりします。学級日誌も書いているばかりでは張り合いがないので,ネットワーク委員会というので,1ヶ月ずっと書き続けられると「エブリデイ」賞とか,内容がいいのを表彰しています。委員会の投票と先生の。

堀田
これけっこうな量書いていますね。これだけ入れるの大変だと思いますが,いつ入れているんですかね?

山口
放課後やる子もいるし,昼頃からやっている子もいる。

堀田
いいですね。これいい練習になりますね。

玉置
ふつうの学級日誌に書かれていたことと比べると分かる。学級日誌を読むのは日直が書いても担任がみるだけ。でも書いた子は読まない。書き甲斐がないといえばない。公開することによっていろんな見方がある。こうやって書くと表に出るし,おもしろいことを書こうということになる。

堀田
何かほかにおもしろいことありますか?

山口
さきほど校長室にいろんな書かれてあるという話もありましたが,それもありますし,式辞も入っています。

堀田
校長先生はまめに話すんですが,それが1学期に1回載っていると。式辞の文章が載っているんですね。

玉置
去年と同じことは話せない。

大西
今日何を配布したか,というのを全部出している。配布一覧表。

堀田
子供が帰るまでに親がみていたりしてね。「もらったでしょ」って。小牧中では保護者がどのくらいのパーセンテージで家庭でみていたりしますか?

山口
うちからみているのが1年生で半分くらい居ますね。

堀田
すごいですね,増えることはあっても減ることはないでしょうね。ある意味ガラス張りというか,報告できるものはできるだけ公開していこうということですね。

山口
私は前任の佐藤先生がいたからここまで出来たと思います。私は小牧中に来て2年目ですが,それまでホームページを作ったことがありませんでした。

大西
謙遜していますが,大事なのはITじゃなくて,伝えたいという気持ちなんです。

堀田
神戸先生どうですか?山口先生のIT力は?

神戸
前任の佐藤のページをこれだけ変えてしまうというのは力があると思う。やはり,何を伝えたいか,今何を伝えなければならないか。それを的確に把握するのがITの力だと思う。

山口
地域のHPだったものが,配布物が全部載っているので我々のDBになっている。

堀田
今の山口先生のような校務文書はどこにもありますか?HP担当の人ってのは給食を撮影するために校内をウロウロしていますか?もっと技術よりなところで係が決まっていると思う。小牧中は発信する情報の内容によって係を決めている。

では,私たちはどこからどう取り組めばやっていけるか。

堀田
データを入れてみんなで共有して,というのは言うけどみんなやるのかな?と。それが小牧では使われている。それは入れたデータが2回も3回も使われているから。最後が学期末に苦労する部分を楽にしてくれる。これは小牧中特有なんですか?小牧市の方針なんですか?せっかくですから教育長。

教育長
えー,小牧市の教育委員会は前から金は出すけど口を出さないという方針でやっていたのかな,と。ハードはだいぶ金を使っているけど成果がないというのが実際のところかなと思っていました。本当の基本的なコンセプトの前にハードを入れちゃうというのがあって,それが今までいろんな問題が起きているのかな,と。15年度からはそれをきちっと整理してやっていこうと思っている。そのかわり,きちっとしたものがでていないものだから,いろんなことがそれぞれの学校でやられている。ある意味で非常におもしろい。かたっぽでは,今はほとんどないけど,2年くらいホームページがほったらかし,とかね。玉石混淆。そういったところをやれるような体制を作っていかないかんなぁと思っています。

小牧中のところからいうと,以前は少ししか入っていなくて,特定の子は多いけど,ある子は少ないとか思っていた。意外にだんだん蓄積していく。ただ,今でもみると分かるけど,特定の先生が多い。

#教育長の話長いので省略#

堀田
玉置先生に聞きたいんだけど,非常に謙遜されてるんですが,今度の予算の取り方は変わったんでしょ。

玉置
2000万の予算がある。各学校で「こういう教育をしたいから,これだけほしい」と各学校で5分プレゼンをして,小牧中は小牧中で出した。教育委員会の方でいろんな相談をされていると思う。

堀田
有限実行でね。それはちゃんとやらないとね。そういう教育委員会のもとでやっているということだと思う。そういう意味では,この時代ですので,どちらかというと教育の世界って保守的になる傾向にある。それを外部評価受けられるようになっているというのは,どこの教育委員会でも出てくると思う。IT入れて使っていないというのは非難されるようになってくる。

堀田
不思議なのは,小牧中のノリ。大西さんが廊下を歩いていたり,情報を共有したりする体制があったり,そういう学校に小牧中がなっていったプロセスを最後に聞きたい。一番長く小牧中に居る人は誰ですか?教頭先生。一番気をつけていたことやポリシー。

玉置
やっぱりITに関わることによってどんな意義があって,良さがあるか。それは常に本質を考えてきた。ムリして使ってもだめなので,ムリはしない。ムリはしないけどプラスになることをしよう。迷うなら使おう,と。

堀田
迷ったらやめよう,ていうのが多いけど。

玉置
僕のポリシー。

堀田
校長先生もそんな感じ?

玉置
校長職になると細かなことは言われない。

大西
僕みたいなのがゴロゴロしてると変ですよね。校長先生と茶飲み話してる。要は,私が見て何か言う。使えるものは何でも使え,と。もうひとつ,すごくここの学校に特徴的なのは「やってみなくちゃ分からない」というのがある。総合的な学習の時間。3年前からやってる。やってみなくちゃ分からないからやってみる。やってだめだったら変えてみる。ポイントはやってだめだったらすぐ変える。あるやり方で3年前でやってた。3回目くらいに先生が煮詰まった。それでぱっと変えた。

大西
やってみなきゃ分からないからやってみる。そういう軽いノリがいい。そういう人が何名か居た,というのがあるかもしれない。

堀田
大事なことですね。やりもしないで防御戦をはりたがるけど,がんばってる。

堀田
まとめてみます。

小牧中にはあるソフトウェアが入っている。それは小牧にあわせて作ってこられた。それはグループ全体で使うのでグループウェアって言われます。組織にグループウェアが入るということは組織にあわせてGWが変わります。学校ってみんな一緒に働いているようで,同時に同じことをしているわけじゃない。一同に介する時間なんて本当に少ない。情報は取れ高としてはあるけど,再利用はほとんどされていない。経験的にやっている。だから毎年毎年変わっていかない。企業でいうと,前年度と同じことをするのは基本的には×。学校は基本的に原案は昨年通り。変わりにくい体勢にある。情報が集められて,作り直されるというのがない。

学校は効率化するのはあまりよくないことだ,というのがある。みんな悲鳴をあげているのに効率化しない。フォーマットをきめるのに後ろ向き。手書きでミスして時間がかかっても,それに目をつぶっている。そういう点では小牧中はドライにフォーマットにしている。

説明責任。子供はもっと自分がどう評価されているか知りたがっている。保護者も地域の人も。教師同士もお互いに何をしている知りたがっている。だけど流通していない,つながっていない。そこにこういうGWを入れることで,学校がオープンになり,謙虚になっていく。

僕らがふつうにできることを考えると,朝の連絡事項の掲示板を校内ネットを使うだけでも変わるかもしれない。次は保健のデータを入れるとかね。そうしてだんだんいいものに変わっていく。

このパネルについては、これで終わろうと思います。

<資料提供 堀田研究室 村上氏>